こちらの記事では、少人数で運営する弁護士事務所が電話代行サービスを導入し、日々の業務効率化・働き方の柔軟化・対応品質の均一化をどのように実現したかを、ロードマップ形式でご紹介します。
「誰かが必ず電話番」「営業電話で集中が途切れる」「長時間の電話相談で予定が崩れる」といった悩みを、一次受付・トリアージ・通知設計でどう解消したのかがポイントです。
・一次受付とトリアージで中断を最小化
着信を「裁判所/顧客/相手方代理人/新規相談/営業」に自動・半自動で分類し、緊急度(期日・期限・拘束の有無)で優先通知。
・要点記録とチャット通知で引き継ぎ精度が向上
発信者・事件名(または仮称)・用件・期限・折返し可否をテンプレで要点化し、Chatwork/Slack/メールに即時共有。
・営業・迷惑電話のフィルタリング
「折返し対象外」の基準を事前設定。不要な中断を入口で遮断して、業務に専念。
「電話には出たいが、起案が止まる」ジレンマ
少人数で運営する弁護士事務所では、代表番号に日々多くの着信がありました。その中には裁判所や依頼者からの重要な連絡もあれば、営業や勧誘など対応不要の電話も混在していました。
その結果、誰かが必ず電話番を担わなければならず、起案や証拠整理など集中力を要する作業が中断されがちでした。さらに、時には即席の長時間相談が発生し、予定が大幅に崩れることも少なくありません。
在宅勤務を進めたくても「電話に出られる人が事務所に常駐しなければならない」状態が続き、柔軟な働き方の実現を妨げていました。
加えて、電話内容の記録が残らないことで情報共有に漏れや重複が生じ、対応品質にも不安がありました。
要件定義とスクリプト設計
弁護士事務所における電話代行導入では、まず「どの連絡を即時対応すべきか」「どの連絡を整理して後追いすべきか」を明確にすることが最重要課題となりました。そこで次の要件を定義しました。
要件
1. 裁判所や期日に関わる連絡は、緊急性が高いため即時エスカレーション。
2. 新規相談については、紛争の種類・希望面談枠・連絡手段などを一次聞き取り。
3. 営業電話や勧誘は遮断し、無駄な対応を防ぐ。
4. すべての要件をテンプレートに沿って記録し、チャット通知で共有。
5. 通話録音を残し、内容の再確認や証跡確保が可能な体制を構築。
通知フロー
チャットツールにて「発信者/事件名または仮称/用件・期限/折返し可否・希望時間/添付の有無」を統一フォーマットで通知。期日や仮処分といった緊急案件は、優先タグを付与して担当弁護士に即時エスカレーション。
スクリプト設計
・裁判所 → 最優先として担当弁護士へ即通知
・依頼者 → 折返し可能な時間帯をヒアリングし、スケジュール化
・相手方代理人 → 担当弁護士へ振り分け
・新規相談 → 面談日時の案内や見積導線へ誘導
・時間外着信 → ボイスメッセージで受付、折返し予約に切り替え
このように、案件の種類や緊急度に応じたスクリプトを明確にすることで、事務所全体が共通ルールに基づいて効率的かつ正確に対応できる仕組みを整えました。
問い合わせ対応の可視化と優先度付け
・不要着信の大幅削減
導入1か月で営業・迷惑の多くが代行段階で終了。中断回数が顕著に減少。
・情報共有の精度向上
テンプレ通知+録音で聞き漏れ・誤解が減り、折返しの質とスピードが上がる。
・在宅勤務の実効化
「電話番のための出社」から解放。全員テレワークでも運用可能に。
業務集中と顧客満足の両立
不要対応から解放され、起案・期日準備の集中度が向上。重要連絡の取りこぼしが減り、依頼者からの評価も向上。
この導入事例から分かるように、電話代行は単なる外注手段ではなく、効率性・品質・働きやすさを総合的に底上げする仕組みとして機能しています。
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導入時に決めておくべき運用ルール
1. 優先度ルール
裁判所・期限関連・仮処分・逮捕/勾留の有無で線引きを行い、即時エスカレーションすべき案件を明確化。
2. 情報項目の最小化
– 発信者・連絡先・事件名(または仮称)・要件・期限・折返し可否を取得。
– 機微情報は最小限に留め、セキュリティを確保。
3. 営業電話の扱い
折返し不要の具体例(媒体営業・ツール販促・投票勧誘など)を明示しておくことで、不要な中断を排除。
4. 通知フォーマット
誰が見ても即時に行動できるよう、通知順を統一(発信者 → 事件 → 要件 → 期限 → 担当 → 対応ステータス)。
5. 記録連携
通知内容を事件管理システムへ自動転記(テンプレ化)し、証跡を残すとともにナレッジを蓄積。
6. 新規相談の導線
– 受任ポリシー、面談枠、費用見積の案内をスクリプト化。
– 不要に長引く電話相談を防止し、効率的に面談へつなげる。