今回は、日本と海外とのコミュニケーション文化の違いについてご紹介します。日本は、世界的に見ると、小さな島国に沢山の人が住んでいる稀な国です。
日本に住んでいると気づきにくいかもしれませんが、外国から見ると、日本はとてもユニークな国として映ります。例えば、日本の首都「東京」は、世界最大の人口を持つ都市です。
この小さい島口の東京とい首都に、如何に多くの人が密集して住んでいるということです。この件は世界に誇れるという人もいるようですが、地震大国の日本で首都直下地震が怖いとされるのも、このような背景があります。
他にも、ニューヨーク在住の金融関係の仕事をする日本人の方は、年末に日本に帰ってくると次のようなことを心から思うそうです。
1. 日本は、子供だけで通学できる国 (アメリカだと誘拐されます)
2. 綺麗 (ゴミ箱がなくても綺麗な日本、ゴミ箱があってもゴミだらけのニューヨーク)
3. 静か (都会でも日本は静か。マンハッタンはサイレンや奇声で賑やか)
このように、日本の中から見ていては気付かないかもしれませんが、外から見るとその印象は大きく異なります。まずはコロナ後のインバウンド需要増加の背景と、それによる問題などを俯瞰しながら、日本と海外のコミュニケーション文化の違いについて触れていきます。
インバウンド需要
コロナ後のインバウンド重要の増加の背景には、円安効果が非常に働いています。コロナ禍はドル円は107〜109円くらいでしたが、2024年6月現在は157円まで円安が進んでいます。つまり世界通貨であるドルを持って日本に来れば1.5倍リッチになって買い物ができるということです。
そのため富裕層など、特にお金が無くても海外旅行に日本を選ぶ海外の人は増加傾向にありました。日本の実質的な産業は「観光」と「アニメ・漫画文化」であり、それ目当てで日本に観光に来る海外の人は年々増えていました。
また世界的にも安全で綺麗 (他国に比べれば)、飲食も安くて美味しいというのも背景にはあると思います。ショッピングの面でも、海外で人気の日本のブランドを海外のセレクトショップで買おうとすると、正規の店舗でも2倍くらいの値段で販売されており、セレブは何も気にせず購入していますが、普通の人からすれば少し高い訳です。
しかし日本に訪れて買い物すれば、円安の効果もあり、海外で買うよりも半分ぐらい、半分以下で安く買えるとなれば日本旅行のついでに買い物のしよう!となる訳です。
インバウンドによる問題
オーバーツーリズムによる問題は、観光客の増加により地元住民に悪影響が及ぶ現象です。特に鎌倉や京都のような人気観光地では、この問題が顕著です。2024年には静岡の富士山が見えるコンビニ前の道路が話題となり、観光客が景観を楽しむために道路を横切ることが問題視されました。最終的には、景観を隠すネットが設置されましたが、いかにも日本的な臭い物に蓋をする的な施策が取られたものだと思います。
このようなオーバーツーリズムの問題は、そこに暮らす住民の方が大事なんだから ... と言ってしまうのは簡単ですが、これが現在の日本の姿であり、安く成り下がってしまった姿を受け止めないとリアルな現実は見えて来ないのではないかと思います。
例えば、インバウンド需要に応える形で (2023年の猛暑も重なり) お米の値段も6〜8割高騰しています。同じようにホテル代や観光地の飲食代もインバウンドに合わせて高騰しています。これが現実であり、このような現象に対して反論を訴えたところで何にもならないのが現実です。
オーバーツーリズムの解決策としては、観光客の流れを分散させることや、観光地でのマナー向上を図る教育活動などが考えられます。また、地元住民と観光客の共存を図るための取り組みも必要です。具体的には、観光客向けのインフラ整備や、観光客の行動を管理するための技術的な対策が有効でしょう。
日本と海外のコミュニケーション文化の違い
日本は歴史的にも内に閉じていた歴史が長く、そのために日本人特有の文化やコミュニケーションを育んできたと思います。そのため、日本と海外のコミュニケーション文化にはいくつかの違いがあります。
・非言語コミュニケーション
日本では、非言語コミュニケーションが非常に重要です。相手の表情や身振りから意図を読み取ることが一般的です。例えば、皆さんが普段、家族や友人とのやり取りで使用する、LINEスタンプ、絵文字など、言葉を使わない非言語コミュニケーションを普段からしています。
言葉だけでは伝えきれない感情やニュアンスを表現するためです。日本のコミュニケーションでは、空気を読むことや相手の気持ちを察することが大切にされるため、非言語コミュニケーションが強調されることが多いです。
LINEスタンプも、その一例です。LINEスタンプを使うことで、文章だけでは伝えにくい感情や雰囲気を相手に伝えることができます。また、スタンプはユーモアや親しみを感じさせる効果もあり、コミュニケーションを円滑に進める役割も果たしています。
このような非言語コミュニケーションの形は、日本だけでなく世界中のコミュニケーションにも見られますが、日本では特に重要視される傾向があります。日本のコミュニケーションスタイルを理解し、非言語コミュニケーションの重要性を認識することは、円滑なコミュニケーションを築く上で非常に役立ちます。
一方、欧米などの国では、直接的な言葉で意思を伝えることが一般的で、非言語コミュニケーションはあまり重視されません。
・謙虚さ
日本では、謙虚さが重要視されます。自分の意見を述べる際にも、遠慮や謙遜の言葉を使うことが一般的です。一方、欧米では、自分の意見やアイデアを積極的に主張することが期待されます。
日本人のコミュニケーションの特徴としての「謙虚さ」は、自分を過大評価せず、他人に対して敬意を払い、相手を立てる態度を示すことを意味します。謙虚さは、日本の文化や価値観に根ざしています。
・肩書きに基づく敬称
日本では、相手の肩書きや役職に基づいて敬称を使うことが一般的です。例えば、「部長」や「課長」などの敬称が使われます。敬称を用いることで、相手の地位や役割を尊重し、適切な敬意を示すことができます。
一般的に、日本のビジネスシーンでは以下のような敬称が使用されます。
1. 社長、部長、課長などの役職名に「さん」を付けて呼ぶ(例:社長さん、部長さん)
2. 職業名に「さん」を付けて呼ぶ(例:医者さん、弁護士さん)
3. 専門家や尊敬する人物に対して、「先生」と呼ぶ(例:医師、教授、著名な芸術家)
日本では、敬称を省略したり誤った敬称を使用すると、失礼とされることがあります。相手との距離感や関係性に応じて適切な敬称を選ぶことが、スムーズなコミュニケーションに繋がります。
ただし、海外のコミュニケーションでは、このような肩書きに基づく敬称は一般的ではなく、ファーストネームで呼び合うことが多いです。そのため、国際的なビジネスシーンでは、相手の文化や慣習に合わせて敬称を使い分けることが重要です。
・間(ま)
日本では、会話の中で無言の時間(間)を大切にします。相手が話し終わるのを待ってから自分の意見を述べることがマナーとされています。一方、欧米では、会話の中で瞬間的な沈黙は避けられがちで、自然な流れで意見を述べることが一般的です。
日本の文化では、人間関係やコミュニケーションにおいて、相手の感情や立場を尊重し、調和を重んじることが大切にされています。間(ま)とは、言葉だけではなく、沈黙や空気を読むことで、相手の気持ちや状況を察知するスキルです。このような間を通じて、相手とのコミュニケーションが円滑に進み、調和が保たれると考えられています。
日本人は、相手の感情を傷つけないように、直接的な表現を避けることが多いです。このため、間を通じて、相手に伝えたいことを遠回しに伝えることが一般的です。このようなコミュニケーションスタイルは、相手との調和を保ちながら、自分の意見や感情を伝える方法として重要視されています。
まとめ
日本人のコミュニケーションには、過去程ではありませんが、海外では通用しない (理解されない) ことが大分あるのではないかと思います。「郷に入っては郷に従え」という有名な言葉がある通り、コミュニケーションにも同じように言えることだと思います。
これらの違いを理解し、異文化コミュニケーションにおいて適切な対応をすることが、円滑なコミュニケーションを実現するために重要です。例えば、日本のコミュニケーションスタイルをそのまま海外で適用すると、以下のような問題が生じることがあります。
・曖昧さの解釈
日本のコミュニケーションでは、言葉の裏にある意図を読み取ることが一般的ですが、海外ではこれが難しく、意思疎通が困難になることがあります。
・謙虚さの誤解
日本の謙虚さは、海外では自信のなさや消極的な態度と捉えられることがあります。そのため、適切なアピールができず、ビジネスチャンスを逃すことがあるかもしれません。
・直接的な意見表明の避ける
海外では、自分の意見や考えをはっきりと述べることが求められることが多いです。日本のような遠回しの表現では、意図が伝わらず、誤解やコミュニケーションの障壁が生じることがあります。
このように、海外では日本のコミュニケーションスタイルがそのまま通りません。海外でのコミュニケーションを円滑に進めるためには、相手の文化やコミュニケーションスタイルを理解し、適応することが重要です。具体的には、明確で直接的な表現を使い、自分の意見や考えをはっきりと伝えることが求められます。