ChatGPT の登場で、メールを書き方に大きな変化が起きています。例えば社会人になると上司や会社の先輩、取引先相手などにビジネスメールを書くことが増えてきます。
これまで新入社員は、社会人となって目上の相手にどのようなビジネスメールを書いていいのか?その書き方が分からなくて、検索して調べながら時間をかけてビジネスメールを書いたと思いますが、その必要がなくなりました。
これからは ChatGPT を、あなたの専属秘書、メールライターとして利用し、詳細な命令を下すことでビジネスメールの雛形を生成してくれます。
後はあなたがメールを送る相手に合わせて添削したり、少し手を加え編集することで任意のビジネスメールが完成します。これにより、以前のように検索したり、時間をかけてストレスを感じながらビジネスメールを書く必要がなくなりました。
ChatGPT を使いこなすことで、効率よくストレスもなく上司や同僚、取引先、顧客に向けてビジネスメールを書けるようになります。
電子めーるはビジネスメールに限らず、プライベートでも仕事でも、現代のコミュニケーションに欠かせないものです。今回は ChatGPT をメールライターとして活用し、効率良くメールを書く方法をご紹介します。
ChatGPT の仕組みを理解する
最初に ChatGPT の仕組みをしっかりと理解しておきましょう。ChatGPT は、対話型のチャットボットでプロンプト (命令) の指示に従沿って応答をするように訓練されています。
質問するのではなく命令する
ChatGPT が普及する前は、何か分からないことがあれば「ググる」に代表されるように、私たちは Google 検索をして検索バーに質問を書いていました。
しかし ChatGPT は、Google 検索のように「質問」するのではなく「命令」して使った方がその威力を最大限に発揮します。つまり ChatGPT において命令 = どのようなプロンプトを出すか?が重要になります。
ChatGPT におけるプロンプトとは、ユーザーと AI との会話を促進するためのものです。ユーザーは詳細なプロンプトを ChatGPT に投げかけることで、価値ある回答を受け取ることができます。
確率の高い文章を羅列する
ChatGPT (無料のGPT3) は、"手前の文章に確率的にありそうな文章をどんどん付け加えていくだけ" ということを行い、それっぽい文字をどんどん羅列していきます。
【関連記事】「機動戦士」と聞いたら「ガンダム」と答えてしまうのが ChatGPT
ですので、漠然としたような命令をすると、最もありそうな回答を返してきます。これではこちらが意図する回答が上手く返ってきませんので、詳細な命令を出すことで、こちらが意図した回答を得ることができます。
日本語だと回答の精度が低い
ChatGPT は Large Language Model (ラージ・ランゲージ・モデル) を採用しているため、日本語だと回答の制度が悪いです。そのため意図した回答が返ってこない場合は、翻訳ツールなど駆使したり、命令文を工夫したりして英語で命令するようにしましょう。
ビジネスメールを生成するプロンプト
ChatGPT でビジネスメールを生成するのに、今回は上記でご紹介した「深津式プロンプト・システム」を採用します。以下のようなフォーマットを採用することで、精度の高いビジネスメールを生成します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
# 命令書
あなたは、プロの編集者です。
以下の制約条件とキーワードをもとに、最高のビジネスメールを書いて下さい。
# プロンプト
<ここにどんなビジネスメールを書きたいか詳細を書く>
# 制約条件
・重要なキーワードを取り残さない。
・文章を簡潔に。
・丁寧な文章で。
キーワード :
・大変申し訳ない。
・体調が戻り次第すぐに復帰する。
・自宅で様子を見てから病院に行くか検討する。
・多分風邪だと思う。
・1000文字程度
出力文 :
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
上記のように、あなたが生成したビジネスメールに合わせて、「プロンプト」、「制約条件」、「キーワード」を調整することで任意のビジネスメールを用意することができます。それではこのプロンプトを用意て実際に ChatGPT でビジネスメールを書いてみましょう。
任意のビジネスメールを生成する事例
ChatGPT の仕組み、プロンプトを大体理解したら実際に手を動かして、任意のビジネスメールを ChatGPT で生成して見ましょう。
任意のビジネスメールを ChatGPT で生成するには、詳細なプロンプトを用意します。今回は初心者に向けて「(1) 詳細な命令をする」例と、「(2) 深津式プロンプト・システムを使いフォーマットに落とし込んだ命令」をする2つの例を実際に試してビジネスメールを生成します。
- とにかく詳細で明確な命令を出す
- 深津式プロンプト・システムを採用してフォーマットに落とし込んだ命令を出す
普通に命令してみる
まずは ChatGPT を初めて使う、という方に向けてふつうに命令してみましょう。
例えばあなたが早朝に起きて体調が優れず、「これは今日出勤しても仕事にならないな ... 出勤しても自分がただ辛いだけだな」と思ったら、次の瞬間上司に向けて急遽休む旨を伝えるメールを書く必要が出てくる訳です。
起きたばかりでボケっとしているし、頭も痛いので ChatGPT を使って上司に急遽今日お休みします、というメールを書くことになりました。ここで以下のようなプロンプトを入れると、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
プロンプト : 会社を急遽休むメールを上司宛に書きたい」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ChatGPT は、それっぽいビジネスメールを生成してくれますが、プロンプトの範囲が広すぎて、かなりでっちあげたメールを生成します。上記画像のように、"医師からの指示に従い、ゆっくりと治療に専念したいと考えております。" みたいな、いやまだ病院行ってないし ... みたいなメールの例文を生成してくれます。
これでも不要な部分を少し添削し、上司のお名前や自分の名前を入力すれば、すぐにビジネスメールを作成することが可能です。
もっと生成されるビジネスメールの精度を高めるには、ChatGPT に詳細な命令をすることで、その対象範囲を狭めて明度の高いビジネスメールを生成してくれます。それには2種類の方法があります。
(1) とにかく詳細で明確な命令を出す
上記の例のように、上司に今日会社を急遽お休みするメールを書きたい場合は、とにかく明確にどんなメールを誰に書きたいかを ChatGPT に伝えます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
プロンプト :
体調不良で急遽会社を休むことを上司に丁寧な文体でメールしたい。ちゃんと大変申し訳ない旨を伝え、体調が戻り次第するに職場復帰することを伝える。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
すると、ある程度明度の高い例文が返ってきます。
(2) プロンプト・システムを採用して命令を出す
前の章「ビジネスメールを生成するプロンプト」で紹介した、深津式プロンプト・システムを採用して一定のフォーマットに落とし込んだ命令を出してビジネスメールを生成してみましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
命令書 :
あなたは、プロの編集者です。
以下の制約条件とキーワードをもとに、最高のビジネスメールを書いて下さい。
プロンプト :
体調不良で急遽会社を休むことを上司にメールで伝えたい
制約条件 :
・重要なキーワードを取り残さない。
・文章を簡潔に。
・丁寧な文章で。
キーワード :
・大変申し訳ない。
・体調が戻り次第すぐに復帰する。
・自宅で様子を見てから病院に行くか検討する。
・多分風邪だと思う。
出力文 :
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
このようにフォーマットを用意して詳細を記述することで余計な文章を挟まずに、自分が書きたいビジネスメールを書くことが可能です。
いくつか ChatGPT でビジネスメールを生成してみよう
ここまで学んだ、ChatGPT を利用したビジネスメールの作成方法を元に、いくつかビジネスメールを作成してみましょう。
- 体調が悪くなり、急遽仕事を休ませて貰う旨のメールを同じ部署の先輩にメールしたい
- お客様から製品に対するお問合せメールに返信したい
- 同じ会社の先輩にお礼のメールを送りたい
- 上司からの飲み会の誘いを断るメールを書きたい
プロンプトを書く際は具体的に、「誰が」「誰に」「どのような詳細の」「メールを書く」のか?を詳しく明記します。更に ChatGPT は、メールのトーンも自在に操ることができます。
例えば「明るトーン」でメールを書きたいのか?「落ち着いたトーン (雰囲気)」でメールを書きたいのか?のように、ニュアンスを指定することでそれに沿った文体のテキストを生成します。
新入社員が上司に丁寧なメールを書くには?
それでは実際に ChatGPT をメールライターとして活用し、上司に返信メールを書く例を見てみましょう。
例えば、あなたは新入社員で、上司宛に丁寧なメールを書かなければいけません。これまで目上の相手にメールを書いたことがない新入社員はどのような丁寧なメールを書いていいのか検討もつきません。
これまでなら、どのようなフォーマットでメールを書けば良いのか?検索して調べながらメールを書いていたと思いますので、時間もかかる上にストレスになっていたと思います。
しかし ChatGPT などの登場により、検索せずに ChatGPT に上司宛メールをどのような書けば良いのか?を投げるようになると思います。
<例>上司から飲み会の誘いを断るメールの書き方
ChatGPT を使用してメールの雛形を作成する場合は、誰が誰に宛てて、どのようなメールを書きたいのか詳しい詳細をちゃんと明記します。今回のように、上司からの飲み会の誘いを断るメールを書きたい場合は、
「Q. 私は新入社員です、上司に誘われた飲み会を断る丁寧なメールを書きたいので、参考となるメール文を作成して下さい。」
私は「新入社員」、誰に向けて「上司」、要件「飲み会を断る」ニュアンス「丁寧に断る」のようにメールの詳細を的確に記載しましょう。実際に ChatGPT は以下のような雛形のメールを作成してくれました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
A. はい、以下は上司に飲み会を断るための丁寧なメールの例文です。
件名: ご招待ありがとうございますが、参加できない旨ご連絡いたします
尊敬する〇〇様
いつもお世話になっております。この度は、素敵なご招待をいただきありがとうございます。大変恐縮ではございますが、私は参加することができないことをお詫び申し上げます。
現在、私は業務に集中しており、重要な期限が迫っております。このため、社内業務に専念する必要がございます。また、この度は私のスケジュールと合わず、参加することができない状況でございます。
今後は、貴重な機会をいただいたことに感謝しつつ、より一層業務に専念してまいります。何かございましたら、遠慮なくお知らせください。
何卒、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
敬具
〇〇 (名前)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ChatGPT が生成したメール文をそのまま使って送信ボタンを押すのは避けましょう。その理由は、若干ニュアンスがおかしかったり、的外れな文章も混じっていますので、必ず確認してメールを送る相手に合わせて手を加えましょう。
メール文の全体的な雛形、フォーマットはそのまま採用し、主に本文に手を加えるとより相手に伝わりやすいメールを作成することができるはずです。
このように、ChatGPT が作成したメールの雛形に自分で少し手を加えることで、Google 検索して自分で調べてメールを書くよりも時間をかけずストレスフリーに効率良くメールを書くことが可能です。
このように今後新社会人が、目上の方や、上司、先輩、取引先相手にメールを書いたり・返信する際は ChatGPT を上手く活用することで時間を大幅に節約することが可能です。
これまでのように、検索してメールの書き方を調べながら書いたり、書店でその手の本 (社会人マナー・メールの書き方的な) 参考書を買うのは時間の無駄なのでやめましょう。
ChatGPT は、メール作成が楽になる強力なツールです。忙しい社会人でも学生でも、ChatGPT を使えば、時間を節約してメールの品質を向上させることが可能です。