自分自身が誰かに相談することがあるように、今度は誰かから自分が相談を受けるかもしれません。
家庭でも学校でも職場でも関係なく相談というのはよくおこなわれることになるのですが、そこでもっとも重要になってくるのが相談を受けたときの対応です。
相談を受けたときの対応にもダメなものと正しいものがあります。ここでは、相談を受けたときの「NG対応」と「正しい対応」についてご紹介していきたいと思います。
相談というのは必ずしも答えを求めているわけではない
相談を受けたときの「NG対応」と「正しい対応」についてお話する前に、頭に入れておきたいポイントがあります。
それはズバリ「相談者=答えを求めている人」ではないということです。
相談された場合、その相談内容を解決するための答えを考える方が多いのですが、相談してきたからといって必ずしも答えを求めているわけではないのです。
自分自身が誰かに何かを相談したときのことを思い浮かべてみてください。
もちろん、答えを求めて相談したこともあるでしょうが、ほとんどの場合、相談する前から自分の中で答えが決まっていたのではないでしょうか?
答えというよりも、自分の答えの後押しをしてほしくて相談をしている方も多いのです。
そのため、「相談してきているから何かしらの答えを出してあげなければ」という考え方を前提にしていると、対応を誤ってしまいます。
相談での対応を間違ってしまうと、そこから人間関係にヒビが入ってしまうようなこともあります。
相談を受ける以上は、相手が本当に求めているものを見極めるということを忘れないようにしましょう。それが相談を受ける側としての責任でもあるのです。
NG対応その1:話を遮ってしまう
相談を受けたときのダメな対応として、まず挙げられるのが話を遮ってしまうというものです。
本人としては自覚がないものの、日常的な会話でもついついしてしまっているというケースがとても多いです。
感覚としては、クイズの問題を読んでいる途中で答えがわかって「わかったー!」と叫んでしまうのに似ているのかもしれません。
もちろん、相談をしてきた相手の話が下手で、いつまで経っても結論に至らないためにまどろっこしく感じられてしまって、先に答えを言ってしまうということもあるでしょう。
どちらにしても気持ちはよくわかるのですが、相談を受けたときに相手の話を遮ってしまうのはいけません。
誰だって自分の話を途中で遮られると腹が立ちますし、「この人はわかってくれない」と心を閉ざしてしまうかもしれません。
自分はあくまでも相談を受ける側であって、主役は相談をしてきた側であるということを忘れないようにしなければいけません。
NG対応その2:頭ごなしに否定してしまう
相談を受けたときに頭ごなしに否定してしまう方もいるのですが、これも絶対にNGです。
もちろん、相談内容に偏りがあって否定したくなるようなこともあるかもしれませんし、相談を受ける側にしてみれば取るに足らないような内容であることもあるかもしれません。
ただ、相談をしてくるということはそれだけ弱っているということでもあるのです。
自分ではどうにもならないからこそ、相談してきているわけです。
もしかしたら他に相談できる人がおらず、本当に最後の手段として相談してきているのかもしれません。このように考えていくと、頭ごなしに否定するというのはあまりにも思いやりに欠けます。
場合によっては、相談してきた本人も薄々自分の相談内容が否定されるようなものであることをわかっている可能性もあります。
そういった中で恐る恐る相談をしてきていることもあるのですから、どのような内容であっても一旦受け入れるようにしたいところです。
頭ごなしに否定されるというのは、人間にとってかなりのストレスになります。
自分の言い分もろくに聞いてもらえずに、否定され続けるというのは弱っているときにはよりいっそう大きなダメージになります。
相手にとっては自分への相談が最後の手段なのかもしれないということを考えて、対応していかなければいけません。
NG対応その3:アドバイスやお説教をしてしまう
相談されたときに、アドバイスやお説教をしてしまうという方も少なくありません。
アドバイスやお説教をしている側は気分がいいかもしれませんが、一方的なアドバイスやお説教というのは相手に一切響かないですし、むしろ相手の気分を害してしまうものです。自分本位にならないようにしましょう。
とても嫌な言い方になってしまうのですが、人間というのは相談を受けると自分の優位性を感じるようになります。
相談を受ける側である自分のほうが立場は強く、相談してくる側である相手のほうが立場は弱いと思うようになるのです。そのため、上から目線でのアドバイスやお説教をしてしまうケースが増えるのです。
さらに言うと、人間というのはどこまでいっても自分の中の常識、物差しでしか判断できないような部分があります。
自分の常識や物差しが正しいと思っている部分がありますし、そう思いたいのです。
相談を受けたときというのは、そういう自分の常識や物差しが正しいことを証明する絶好の機会にもなってきます。
その結果、相手のためという建前で自分を満たすために相手へのアドバイスやお説教をしてしまうようなこともあるのです。
相談に乗ってもらいたくて相談をしているのに、相手にしてみれば体のいいサンドバッグにされたようなものです。
アドバイスやお説教がまったく必要ないとは言い切れませんが、相手のことを考えずに自分本位なアドバイスやお説教をするのは絶対にNGです。
弱っている相手を追い詰めることになりますし、的外れなものであればあるほど相手からも幻滅されてしまうでしょう。
正しい対応その1:相手の話を最後まで聞く
相談を受けたときの正しい対応として、まず挙げられるのが相手の話を最後まで聞くということです。
相談してきているということは、打ち明けたいことがあるのです。
当然、相談するまでにいろいろと悩んでいるわけですから、話したいことは山のようにあるでしょうし、話していくうちにあれもこれもと出てくるはずです。
ときには順番が前後したり、内容的にツッコミたくなるようなこともあったりするかもしれませんが、そこは一旦辛抱して、相手の話が一通り終わるまで待ってあげましょう。
ただ待つだけではなく、その話をできるだけ理解しようと努めてください。その姿勢を見せるだけでも相手は安心します。
相談と言いつつも、実は話を聞いてほしいだけ、愚痴を聞いてほしいだけということもままあります。
そういう場合には、本当に話を聞くだけで相手はスッキリして帰っていくこともあるかもしれません。どちらにしても、とりあえずは相手の話を最後までしっかりと聞くようにしましょう。
正しい対応その2:共感や肯定から入る
相談内容を聞いていて、「これはちょっと......」と思うこともあるかもしれません。
そういうとき、すぐに否定したくなるでしょう。ただ、そういうときでもワンクッション置くことを意識していきましょう。
否定したくなることがあっても、いきなり否定から入るのではなく、肯定できる部分を先に肯定したり共感したりした上で「ここはちょっとどうなのかな?」という感じで伝えるようにしましょう。
言いたいことや思ったことをストレートにバーンと伝えるのは気持ちがいいかもしれませんが、相談してきている相手のことを考えるとそれは絶対に好ましくありません。
相談してきているということは弱っている状態でもあるのですから、こちらが気を配っていく必要があるのです。
それに同じ内容を伝えるにしても、先に肯定や共感の姿勢を見せるのと見せないのでは相手の反応も違ってきます。
先に肯定や共感の姿勢を見せることによって、相手もその後の内容を受け入れやすくなるのです。先の話を最後まで聞くという対応にも通ずる部分になりますが、肯定や共感を示す姿勢はとても大切なのです。
正しい対応その3:相手が考える時間を作る
相談を受ける時間というのは、相手に気づきをもたらす時間でもあります。
そのためには、相手自身が考えるための時間というものを作っていかなければいけません。
相談を受ける側にしてみれば待ち時間が長くなってしまうので面倒に思えるかもしれませんが、これも大切なポイントです。
相談を受ける側が投げかけた一言や質問に相手がなかなか答えられないとき、ついイライラして答えを催促したくなってしまうかもしれません。
ただ、そこはぐっと我慢して、相手が考える時間というものを確保してあげましょう。そうすることで、相手が勝手に相談の答えを見つけるようなこともあるのです。
相談してくる相手のための時間なのですから、相談を受ける以上は考える時間を確保すべきですし、待ち時間がまどろっこしいから催促するでは何のために相談を受けたのかわかりません。
急かされても人間はいい答えを出せません。相手のことを思えば、待ち時間がまどろっこしいから相手を急かすなんてことはできないはずです。
【電話応対編】相談を受けた時の「NG対応」と「正しい対応」
先では相談を受けたときの「NG対応」と「正しい対応」についてお話しましたが、先でご紹介した対応というのは基本的に対面していることを前提にしています。
もちろん、そのまま電話応対に応用できる対応もあるのですが、電話応対の場合には別で考えなければいけない部分もあります。
では、電話応対で相談を受けたときの「NG対応」としてはどのようなものが考えられるのでしょうか?電話応対のプロである電話代行サービスの秘書からみてお話ししたいと思います。
先でご紹介したものにプラスして挙げられるのが感情的になることです。
もちろん、対面しているときに感情的になるのも好ましくないのですが、電話応対においては特にNGです。
というのも、感情を抑えているつもりでも電話では感情が普段以上に伝わりやすくなります。
言葉の選び方や声のトーン、ちょっとした息遣いなど相手は敏感に感じ取りますので、電話応対で個人的な感情が見え隠れすると一気に印象も悪くなりますし、信頼や信用といったものも失ってしまいます。
逆に、電話応対で相談を受けたときの「正しい対応」としては、具体的なアドバイスや答えを求めているケースに応えられるようにしておくことです。
というのも、電話応対における相談になってくると具体的なアドバイスや答えを求めているケースも少なくありません。だからこそ、それに応えられるように準備しておく必要があるのです。
内容を正確に聞き取り、自分のところで案内できることがあれば適切な案内をして、自分のところでは対応できないものであれば対応できるところに回すという当たり前のことを実践していきましょう。
マニュアル通りの対応だけではなく、臨機応変な対応ができないといけません。