
久しぶりのブログエントリーでは、年末に読んだアダム・グラントの著書『Think Again』についてご紹介します。
「考え直すこと」、「視点を切り替えること」のヒントを得たいと思い手に取った一冊ですが、読み進めるうちに、日々の電話対応にもそのまま活かせそうな考え方が多く含まれていると感じました。
そこで今回は、電話対応という実務の場面に絞って、本書のエッセンスをご紹介したいと思います。
アダム・グラントが本書で一貫して伝えているのは、「自分の考えの正しさを守ることよりも、学び続ける姿勢=“再考(Think Again)”を選ぶことが大切だ」というメッセージです。
この考え方は、電話対応と非常に相性が良いものです。
電話では、限られた情報の中で即座の判断を求められ、相手の感情もダイレクトに伝わってきます。そのため、つい「即断」「言い切り」「正解を出すこと」に意識が向きがちです。
では、『Think Again』の考え方を、実際の電話対応の現場ではどのように活かせるのでしょうか。次から、具体的な実務シーンに落とし込んで見ていきましょう。
まず「説得」より「診断」から入る
電話対応では、反射的に説明したり、反論したり、説得を始めてしまうと、かえって相手の不満が大きくなることがあります。
『Think Again』の考え方に照らすと、これは「正しさを示そうとしている状態」です。そうではなく、相手を言い負かすのではなく、いま何が起きているのかを把握するための “診断モード” に切り替えることが重要になります。
まずは結論を出す前に、状況を正確に理解することに意識を向けます。
すぐに使えるフレーズ例 :
「状況を正確に理解したいので、いくつか確認させてください」
「いちばんお困りの点は、どこでしょうか?」
「最終的には、どのような形になるのが理想でしょうか?」
これらの問いかけを挟むだけで、会話は「言い合い」から「問題を整理する対話」へと自然に切り替わります。
プレゼンモードではなくサイエンスモードで話す
『Think Again』で有名な話が、自分の主張を押し通すより、仮説検証の態度で会話するという考え方があります。電話対応なら「結論を断言する」より「前提を確認して、仮説として置く」ほうがクレームを減らします。
例 :
×「それはできません」
○「現状のルールだと難しい可能性が高いです。念のため確認したいのですが、○○という理解で合っていますか?」
この言い方にすると、相手は「否定された」より「一緒に解決してる」と感じやすいでしょう。
相手の立場ではなく、相手の論拠を聞く
相手の感情に共感するのは大事。ただし、共感だけで終わると前に進みません。『Think Again』的には、相手の確信の根拠を聞くのがポイントになります。
フレーズ :
「そう思われた理由って、何が一番大きいですか?」
「そう判断されたのは、過去に似たケースがあったからですか?」
「もし○○が確認できたら、安心できますか?」
自分が正しい前提を捨てる(=対応スクリプトのアップデート)
電話対応は「マニュアル通りにやる」ほど安全ですが、同時に “ズレ” も起きます。『Think Again』の実践として、電話の現場からスクリプトを改善し続けることがとての重要です。
具体策(電話代行/社内受付どちらにも有効):
・週1回、5〜10件だけでいいので「困った電話」を振り返る
・次の3点を記録して、スクリプトに反映
・相手は何を誤解していたか?
・こちらは何を前提にしすぎていたか?
・次回は最初に何を聞けば早いか?
自信満々より謙虚な確信で信頼を得る
『Think Again』では、「知識や経験がある人ほど、自分の判断を疑わなくなりやすい」という点が指摘されています。
電話対応の場面でも、はっきり言い切りすぎると、その後に前提が違っていた場合、行き違いやトラブルにつながりやすくなります。そこで大切なのが、判断の“確定度”を言葉に含めて伝えることです。
最初から断定せず、「現時点で分かっている範囲での見解」であることを示すことで、後から情報が追加されても話を修正しやすくなり、相手との信頼関係も保ちやすくなります。
使い分け例 :
「現時点では○○の可能性が高いです」
「このケースは例外の可能性もあるため、確認のうえ折り返します」
「念のため、ここだけ確認させてください」
このような言い回しを使うことで、「曖昧」ではなく「慎重で信頼できる対応」という印象を与えることができます。
クレーム対応は「相手を変える」ではなく「状況を整える」
『Think Again』の考え方では、怒っている相手を論理で説得しようとすると、かえって対立が深まるとされています。
電話対応でも同じで、感情が高ぶっている相手に正しさを示そうとするより、まず落ち着いて話せる状態をつくることが最優先です。
そのため話の順番は、①感情を受け止める → ②事実を整理する → ③次の行動を示すという流れを意識すると、無用な衝突を避けやすくなります。
ミニフレーム :
① 受け止める(感情を下げる)
「ご不便をおかけして申し訳ありません」
② 事実を整理する(感情から事実へ)
「念のため確認ですが、いつ・どなたが・何が起きた、という理解で合っていますか?」
③ 次の一手を示す(選択肢を出す)
「こちらでできる対応はAとBがありますが、どちらがよろしいでしょうか?」
この流れを守るだけで、「言い争いの電話」から「解決に向かう電話」へ切り替えやすくなります。
