今回は、ChatGPT などのアプリ、AIツールを活用した電話応対の練習方法をご紹介します。ビジネスの実践前に、電話応対を練習しておきたい、会話のキャッチボールの練習をしておきたいという方は是非ご参考にして下さい。
はじめに
ビジネスの場において、電話応対は非常に重要なコミュニケーション手段の一つです。しかし、電話応対のスキルを磨くためには、実際の経験値が必要です。
そのため経験値のない新人社員などは、働きんがらビジネス電話の電話応対を学ばなければいけません。人によっては、事前に電話応対の練習をしたいと思う人もいると思いますので、今回便利なアプリやAIツールを使用した電話応対の練習方法をご紹介します。
電話応対練習アプリとは?
これまで電話応対の練習用のアプリとして、Amazon のアレクサや Skyep (スカイプ) などのアプリが利用されてきましたが、現在ではその役割も ChatGPT などのAIツールに取って代わられています。
こちらの記事では、ChatGPT、Chrome の拡張機能、その他AIツールを利用した電話応対の練習ができるアプリをご紹介しています。これらアプリやAIツール、サービスを利用して電話応対を練習することで、新人社会人であれば、ビジネスで実践する前にある程度の会話の流れや練習を積むことができます。
例えば、顧客からの問い合わせ、クレーム対応、商品の説明など、実際のビジネスシーンで遭遇する可能性のある電話応対のシチュエーションをシミュレーションすることができます。これにより、ユーザーは実際の電話応対に近い状況で練習を行うことができます。
このように電話応対練習アプリを活用することで、ユーザーは自分のペースで電話応対のスキルを磨くことができます。さらに、ChatGPT のプロンプトを使いこなすことで、新入社員の教育や研修にも活用することができます。
新入社員が実際の電話応対を行う前に、自社専用の ChatGPT を使って練習を重ねることで、初めての電話応対でもスムーズに対応することが可能になります。
・ChatGPT の音声入力を使用して電話応対の練習方法
まず最もオーソドックスな方法としては、スマホから ChatGPT のアプリを使い、音声入力で電話応対の雰囲気を掴む方法をご紹介します。
スマホから ChatGPT の音声入力を使用して電話応対の練習をする場合は、最初に ChatGPT に電話応対相手の役割とシナリオを与えます。例えば、クライアントからかかってくる電話を想定して電話応対の練習をしたい場合は、以下のプロンプトを入力します。
プロンプト:
これから電話応対の練習をしたいと思います。私は新人社員で、あなたはクライアントです。シナリオは、商品の問い合わせについてです。電話応対の勧め方としては、電話応対のシステムと同じく、会話のキャッチボールをして下さい。
ここで面白いのが、無料版の ChatGPT 3.5 バージョンと有料版 ChatGPT 4 バージョンでは出力の挙動が異なります。
・無料版の ChatGPT 3.5 の場合
無料版の ChatGPT 3.5 の場合、ChatGPT が自動的に「あなた (新入社員)」と「クライアント」による一連の会話内容のスクリプトを出力しますので、このスクリプトを参考にして、どのように新入社員とクライアントの会話が行われるのかをシミレーションすることが可能です。
残念ながら無料版の ChatGPT だと、プロンプトに「会話のキャッチボールをして下さい」、「会話は交互に進めて下さい」と加えても、役割とシナリオに沿った一連の電話応対内容を一気に出力してきます。
ChatGPT の無料版で電話応対の練習をする場合は、出力された電話応対のスクリプトをイメージし、自分の役を実際に声に出して電話応対の練習をすることができます。
この時に注意したいのが、無料版だと言葉が雑だったり、言い回しが微妙な箇所がありますので、そこは自分で修正して読み直す必要があります。ChatGPT が出力した言い回しを100%信じないようにしましょう。
・有料版の ChatGPT 4 の場合
一方、有料版の ChatGPT の場合は、以下のプロンプトを入力すると交互に会話することが可能です。
プロンプト:
これから電話応対の練習をしたいと思います。私は新人社員で、あなたはクライアントです。シナリオは、商品の問い合わせについてです。電話応対の勧め方としては、電話応対のシステムと同じく、会話のキャッチボールをして下さい。
すると以下のように返ってきます。
「了解しました。では、始めましょう。
電話の音: ピーピー
あなた:「あなたの会社名」の「あなたの名前」です。どのようにお手伝いできますか?」
ですので、実際に会話のキャッチボールをしながら電話応対の練習をしたい場合は、必ず有料版の ChatGPT で練習するようにしましょう。
*パソコンの MAC から、音声入力の設定をする場合は、次の手順で行います。
「システム環境設定」→「アクセシビリティ」→「音声入力」でマイクが使えるようにしましょう。
・ChatGPT で応対スクリプトを作成して練習する
【関連記事】ChatGPT を使用したトークスクリプトの作り方
ChatGPT を使用すれば、様々なシチュエーションに合わせた電話応対のスクリプトを作成することが可能です。プロンプトに登場人物とシナリオを記載することで、それに元ずいた一連の応対事例のスクリプトを作成してくれます。
例えば、あなたがアパレル会社の新入社員で、顧客応対に不安があり、事前に顧客応対を想定した電話応対を練習したい場合は、ChatGPT で顧客応対の練習をすることが可能です。
プロンプト:
電話応対の練習をしたいので、アパレル会社の電話受付スタッフと顧客との応対事例のスクリプトを作成してください。シナリオは、顧客が商品のお問合せをしてきて、それにスタッフが応対するという内容でお願いします。
上記のプロンプトを実行すると、以下のように顧客応対のスクリプトが出力されます。
電話が鳴る
スタッフ: 「スタイリッシュ・アパレル社へお電話いただきまして、ありがとうございます。お手伝いできることがありましたら、お知らせください。」
顧客: 「あの、ウェブサイトで見た新作のジャケットについて質問があるんですけど。」
スタッフ: 「もちろんです。お問い合わせのジャケットの詳細や、何か特定の質問がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。」
顧客: 「そのジャケットは、XXLサイズは在庫があるんですか?あと素材について教えてもらえますか?」
スタッフ: 「それについて確認させていただきますので、少々お待ちいただけますでしょうか?」
数分後
スタッフ: 「お待たせいたしました。確認いたしましたところ、新作のジャケットのXXLサイズは現在も在庫がございます。そして素材については、外側は高品質な羊皮革を使用し、裏地はシルクとなっております。」
顧客: 「わかりました、ありがとうございます。それなら、オンラインで注文しますね。」
スタッフ: 「それは良いお知らせです。ご注文に関して何か困ったことがありましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。また、ご購入後の製品についても、何かご不明な点がございましたらお知らせくださいませ。」
顧客: 「大丈夫です、ありがとうございます。」
スタッフ: 「それでは、お電話いただき、誠にありがとうございました。何かお困りのことがございましたら、いつでもお気軽にお電話ください。素敵な一日をお過ごしくださいませ。」
電話を切る
出力されたスクリプトを参考に、あなたはスタッフ役になりきり声に出して応対練習をすることで、何となくの一連の顧客応対の流れと、どのように応対すれば良いのか?というのが掴めると思います。
このように商品のお問合せや、クレーム対応、返品応対のスクリプトなども ChatGPT で引き出して応対練習することができます。
他にもこんなツールやアプリを活用しよう
ChatGPT 以外にも、ChatGPT の Chrome の拡張機能「TalkBerry - Talk To ChatGPT」や、AIの顔と対面で話せる chat.D-ID などのサービスを利用して電話応対の練習をすることも可能です。
・TalkBerry - Talk To ChatGPT (Chrome の拡張機能)
TalkBerry - Talk To ChatGPT は、ChatGPT との音声対話を容易にする Chrome の拡張機能です。TalkBerry を使用することで、音声で直接 ChatGPT と会話できます。会話スキルを練習したり、AI言語モデルとフレンドリーなチャットをしたりすることが簡単にできます。
他にも、TalkBerry を使えば、ChatGPT をあなただけの語学家庭教師にすることができます。外国語で話す練習をし、言葉の壁を取り除き、流暢に話せるように上達しましょう。初心者でも上級者でも、TalkBerry なら楽しく簡単に語学学習ができます。TalkBerry はAI搭載の英語学習アプリ「Speak」と同様の機能を無料で提供しています。
・TalkBerry と ChatGPT を使用した電話応対練習方法
それでは、TalkBerry と ChatGPT を使用した電話応対練習方法をご紹介します。電話応対練習画面にするまでの流れは以下です。
1. TalkBerry のクローム拡張機能をダウンロードする
2. ChatGPT のページを開く
3. ChatGPT のページを開いたブラウザの右上にある TalkBerry クリックしてアクティブに
4. すると ChatGPT の入力欄の下に緑のマイクボタンが表示されます
これで電話応対練習の準備が整いました。上記の流れを文章でも説明します。
まず、TalkBerry のクローム拡張機能をダウンロードし、ChatGPT のページを開きます。
次にクロームブラウザの右上から「TalkBerry」をアイコンをクリックしアクティブにします。すると以下のように、ChatGPT の入力画面の下に「マイク」のマークが表示されますので、これで準備 Okay です。
この「マイクマーク 日本語」という緑のボタンを押すと、音声入力が可能になりますので、画面に向かって喋りかけます。自分が喋り終わったら、もう一度マイクボタンを押し音声入力を終了します。
自分が喋った音声はテキストとして入力欄に表示されますので、紫の「Send message」ボタンを押して ChatGPT を使用した電話応対練習が開始となります。
例えば、
「電話応対の練習をよろしくお願いします」と喋ると、
ChatGPT は、
「もちろんです。電話応対の練習をお手伝いいたします。どのようなシナリオで練習を行いたいですか?例えば、顧客からの問い合わせ対応や商品の購入手続きなど、具体的な状況を教えていただければ、それに基づいて対話を進めることができます。」
と、出力したテキストを音声で読み上げてくれますので、ChatGPT に役割とシナリオを与えて電話応対の練習を開始しましょう。
・AIの顔と対面で話せる chat.D-ID
chat.D-ID は、進化したウェブアプリケーションで、AIのリアルな顔を相手に会話が可能なプラットフォームを提供しています。この画期的なツールはイスラエルの企業D-IDが開発しました。彼らは独自のストリーミングアニメーション技術とOpenAIのChatGPTを組み合わせて、リアルタイムの会話が自然に進行する、新たなテキストからビデオへのストリーミング体験を提供しています。
まとめ
電話応対はビジネスの重要なスキルであり、そのスキルを磨くことは業務の効率化や顧客満足度の向上に直結します。このような最新のAIツール、電話応対練習アプリを活用することで、実際の電話応対に近い状況での練習が可能となり、自分のペースでスキルを磨くことができます。
また、新入社員教育や研修にも役立ち、初めての電話応対でもスムーズに対応できるようになります。これらのアプリは、ビジネスコミュニケーションスキルを向上させるための有効なツールと言えるでしょう。