「敬語やマナーは苦手だなっ」て...
電話応対に限らずビジネスマナーとしても、そう感じる方はそんなに少なくないのでは?
私たち電話代行のオペレーターも、はじめは敬語の間違えや使い方に苦労したものです。
しかし、社会人としては基本的なことだけでも再確認して、敬語やマナーの誤った使い方をしないようにしたいものです。
先ず敬語といっても、丁寧語、尊敬語、謙譲語、と種類があります。学生の頃とは違って社会人になって日常的に敬語で話すことが増え、日頃会話をするなかで違和感を感じる言い回しをしてしまっていたり、敬語を使われて違和感を感じたことがあるのは、恐らく誰にでも経験があることでしょう。
丁寧語、尊敬語、謙譲語の違い
丁寧語 は、~です。~ます。という表現になるので、違和感を感じるということには余程なことがない限りはないと思います。
尊敬語と謙譲語は 動作を誰がするのか が大きな違いで、尊敬語の場合は 自分以外の相手。謙譲語の場合は 自分が動作を行っていて 、見るという言葉だけでも、敬語だと ご覧になる、謙譲語だと 拝見する になるので、その言い回しがスムーズに出てくるかが一番の問題なのではないかと私は思います。
これに関してはよく使う基本的な話し方(言い回し方)をしっかり覚えて、会話の最中に変な日本語になることがないように気をつけるしかないと思います。
例えば、お~する(なる)です。
お話になる は尊敬語で相手に敬意を表す言葉ですが、お話する は謙譲語で自分がへりくだるときの表現になります。その違いはずばり なる と する です。つまりなる が尊敬語で する が謙譲語になります。
また、本来、食べるを召し上がる に変換するだけで敬語として成り立っているのですが、そこに敬語のテンプレである表現を重ねてしまう人が多いです。召し上がる+お~なる にして、お召し上がりになる としてしまうのですね。
他にもお越しになる+~られる でお越しになられる というのもよく聞きます。
二重敬語について
尊敬語と謙譲語より間違えやすと思われるのが 二重敬語 です。
丁寧に... と思って話すあまり敬語を二重に使ってしまい、逆に失礼な話し方になってしまうことがあります。この経験はもしかしたら知らないうちに、二重敬語になってしまっている方もいるのではないかと思います。
間違えやすい代表的なものとして、~なられる ~させていただく。があります。この2つの言葉に関しては、言葉自体が 謙譲語 になるので、上記例の 拝見するに ~させていただく をつけて 拝見させていただく と使ってしまうことがあるかと思いますが、実際は違和感があり失礼に当たる使い方になってしまいますので注意しましょう。
つい間違えてしまう日本語とマナー
その1
社会人になって、まず一番といっていいほど使う言葉、それは お疲れ様です と ご苦労様です ではないでしょうか。お疲れ様です は、目上の人に使っても良いのか? 答えはYesです。但し、社外の目上の人に対しては失礼に当たるので NG です。
そして ご苦労様です は、目下の人に使う言葉になります。目上の人に使っては失礼になりますので注意しましょう。
その2
これも最近よく聞く言葉なのですが、了解いたしました や 了解しましたという言葉。この「了解」という言葉は、もともとはフランクな意味合いはなく、謙譲語ではありませんが、しっかりとした丁寧語として流通していた言葉です。
しかし、この言葉が最近では一般的に友人同士などで使われるようになったため、目上の人に対しては今は使わないほうが良いでしょう。目上の人に対しては、承知いたしました。承知しました。を使うようにしましょう。
その3
「お名前を頂戴できますか?」
一応断っておきますが「頂戴いただけますか?」とか、
そういう言い回しのことではなくて、名前は誰にもあげられませんよ、という意味の話です。
この場合、正確には名前を 尋ねる の敬語である 伺う を使うといいでしょう。
「お名前をお伺いできますか?」
または、
「お名前をお教え願えますか?」
という表現が良いでしょう。
また、名前に関して言えば「〇〇様でございますね」も NG です。
「ございます」は丁寧語であって敬語ではないのです。
名前は大事なものですので、そこは丁寧語ではなく敬語に変えて「〇〇様でいらっしゃいますね」が 正解 です。
その4
「〇〇はお休みを頂いております」
もちろん、社内の人間に対しては敬語を使わないというのは、イロハのイなので気をつけている人は多いと思いますが、とっさに上記のような表現をしてしまう方がいらっしゃいます。
もちろん『休んでおります』が正解ですが、案外多いのが『お休みです』や『お休みをとっています』です。休むに『お』をつけるのは社内の人間にはご法度です。
その言い方ではなんとなく素っ気ない、突き放したような言い方になってしまい、逆に相手に対して失礼に映るかも知れませんが、社内の人間の行動にはこれが正解です。
その5
そして間違いやすいのはこれです。
「〇〇部長」
いやいや間違わないよ、と思ったあなた。確かに、おっしゃりたい気持ちはわかります。研修やレクチャーでも部長や課長という役職名は敬称にあたるため付けない、というのは徹底されていますから、ほとんどの人は間違わないものです。
しかし、例えばこんな場合はどうでしょうか?
「山田さんはいらっしゃいますか?」といわれた時、社内に山田が部長と課長の二人いる場合です。このとき、とっさに多分こっちだろうという予測のもと、「山田部長ですか?(でよろしいですか?)」と答えていませんか?
しかし、当然この場合も役職名は付けません。
とはいえ、お相手の言う山田がどちらかは特定しなければいけませんので、部署が違うなら『営業の山田』でいいのですが、部署が同じで役職が違う場合は『部長の山田』or『課長の山田』と答えるべきです。
繰り返しますが、『山田部長』ではなく『部長の山田』です。
これは私たち電話代行のプロでも、話の流れ次第で油断して間違ってしまうことがあります。
その6
よくある間違えで「とんでもございません。」があります。
しかし、これを間違えたところで大きく叱責されたり、会社の評判を落としたりということはありませんが、きちんと使えると、あなたの株を上げるということになります。
正解は、「とんでもないことでございます。」です。
切り離せばわかるのですが「どんでもない」は、「とんでも」が ある とか ない とかいう話ではありません。「とんでもある」という言葉がない以上「とんでもございません」はNGです。
その7
敬語の範疇ですが、よく聞くのが「おわかりいただけましたでしょうか?」これを敬語でない表現に戻すと「わかりましたか?」になり、つまり、相手の能力を疑う表現になってしまいます。「理解できた?あなたに」という意味になります。ですので実はこれはかなり失礼な言葉です。
正しくは「こちらの説明に不備はございませんでしたか?」
もしくは「ご納得いただけましたでしょうか?」です。
方言について
そして最後に、事務所が地方にある企業様でよくお見かけするのが、方言。
方言というのは、日常に使っていますし、近隣の方との会話では問題ないのですが、今やビジネスは全国区で展開されることが普通になっていますので、気をつけたいポイントではあります。
例えば、なるほどですね は北部九州地方の方言です。使っている本人は敬語のつもりで使っていても、その地方以外のひとにとっては、失礼な言い方になります。
他には関西地方の おられる なども注意が必要です。関西地方では おる は普通の言葉です。それに られる つけて おられる は間違いない敬語なのですが、これも他の地域の方には不快感を与えるかもしれません。
敬語は日本の美しい文化。
正しくきちんと使えば円滑なコミュニケーションの大きな力になりますので、覚えるのが大変だとしても日本人として丁寧に使っていきたいですね。
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