新型コロナウイルスの影響で少し変化がでてきている昨今ですが、私たち電話代行業界もどこの業界もまだ人手不足が続いております。
そのため、即戦力となってくれるよう従業員の育成や教育に力を入れているというところがほとんどでしょう。
ただ、人間同士のやり取りになるからこそ部下の育成や教育というのも思うようには進められないかと思います。
もし従業員の育成や教育に躓いているのであれば、心理学的観点というものを取り入れてみるといいでしょう。
ここでは、育成や教育を心理学的観点から考察し、ひとつひとつのステップについて詳しく見ていきたいと思います。
部下のことを理解する
まずは、部下のことをよく理解することが大切です。
今は小さなお子さんへの教育においても、ひとりひとりの個性というものが重視されるようになっています。
ひとりひとりに合った教育が求められているのです。
部下の育成や教育においても、やはり同じように部下の個性というものをきちんと理解していかなければいけません。
昔の感覚のままだと部下を飲み屋さんに連れていって、自分の武勇伝を聞かせて、アドバイスをして......というだけで部下を理解したつもりになってしまうかもしれません。
ただ、このやり方が通用したのは大昔の話です。
改めて考えてみると、大昔もこれでうまくいっていたのか微妙なところなのですが、どちらにしても今はこのやり方では部下の理解にはつながりませんし、むしろ部下との心の距離が開いてしまいます。
今の時代、部下のことを本当に理解したいのであれば、とにかく部下の話を聞くことです。
上司と部下という関係であれば、上司側はついつい上から目線でのアドバイスをしたがるものなのですが、そうではなく、とことん部下の話を聞き、その話に共感の姿勢を見せることが大切なのです。
部下からしてみると話をしっかりと聞いてくれる上司というのはありがたいですし、その上司が自分に共感してくれるとなると好感度も信頼度もうなぎのぼりです。
部下からも慕われるようになりますし、そうすることで部下のことがよくわかるようになります。
部下のことがよくわかるようになると、部下に対してどのように接していけばいいのかという部分も自ずと見えてくるようになります。
例えば、「この人は一度にたくさんのことができないからひとつずつ頼むようにしよう」「この子は負けず嫌いだからライバル心を刺激しよう」といった具合に部下へのアプローチがわかってきます。
私たち電話代行サービスに従事している電話秘書たちも、じつに一人ひとり違った個性がありましてその個性を引き出しつつ秘書代行として統一性を維持したサービスをご提供することに注力しております。
実現可能な目標を設定する
例えば弊社の電話代行サービスでは部下の育成や教育において、目標設定というのは欠かすことができません。
ただ、無理難題な目標では意味がありませんし、逆に簡単すぎる目標もあまり好ましくありません。
部下のスキルや成績から考えて実現可能でありながら、かつ、さらにレベルアップできるような絶妙な目標設定をしていく必要があります。
目標を設定する際には、「なぜこういう目標設定になったのか?」という部分を部下にもしっかりと伝えておくようにしましょう。
もともと目標設定というのはモチベーションアップにつながるのですが、その目標設定の理由を伝えることでさらなるモチベーションのアップが期待できます。
さらに、「君なら十分できる」「期待している」といったポジティブな声かけもプラスしておくといいでしょう。
ただ、あまりにもポジティブな声かけをしすぎてしまうとそれがプレッシャーになってしまう可能性もあります。さらっと当たり前のように伝えることが大切です。
実際に仕事を任せる
部下の育成や教育を通して、最終的には一人前になってもらわないといけません。
そのためにも、実際に仕事を任せていかなければいけないのですが、仕事を任せるときにもいろいろなことを考えなければいけません。
特に、今の若い世代の方はデリケートなので、あれこれと気を遣う場面も出てくるでしょう。
もともと部下が興味を持っている分野の仕事であれば、そこまで気を遣わなくともモチベーションは勝手にアップしていくかと思います。
もちろん、だからといって仕事だけ丸投げすればいいというものではありませんし、コミュニケーションは欠かせません。
興味を持っている分野だからこそ失敗したときの落ち込みが激しくなる可能性もありますので、そうなった場合のフォローも考えておく必要があります。
一方で、部下にとって好ましくない仕事を任せることになる可能性もあります。
社会人なので当たり前なのですが、目に見えて部下のモチベーションがダウンしていくこともあるでしょう。
モチベーションがダウンしたまま仕事に......というのは言うまでもなく、望ましいことではありません。
そのため、部下にとって好ましくない仕事を任せることになる場合、なぜその仕事を任せるのかという部分をできるだけポジティブに伝えていきましょう。
例えば、自分にとって好ましくない仕事、嫌な仕事であっても「君だからお願いしたいんだ」と上司から言われれば嫌な気はしませんし、モチベーションもアップします。
実際に仕事を任せるときにどのような声かけをしてモチベーションアップを図っていくのか、任せた仕事で部下が失敗してしまったときにどのようなフォローをするのかといった部分まで考えた上で、部下に仕事を任せるようにしましょう。
面倒に思えるかもしれませんが、部下との相互理解が進んでいればそう難しいことではないはずです。
具体的に褒める
部下の育成や教育において、今は褒めることの重要性が増しています。
というのも、現代人、特に若い世代の方というのは承認欲求が強い傾向にあります。
そのため、褒めることが若い世代の方には思っている以上に響くのです。
ただ、だからといって適当に褒めればいいというものではありません。具体的に褒める必要があります。
承認欲求が強いタイプというのは、誉め言葉に敏感です。
敏感だからこそ適当な褒め言葉はすぐに見抜かれてしまいますし、見抜かれると上司と部下の関係も悪くなってしまいます。
きちんと部下に目を向けていることが伝わるように、具体的に褒めるように心がけていきましょう。
また、具体的に褒めたほうが次の仕事にも活かせるようになります。
「ここをこうしたのがよかった」と褒めれば、部下は学習して、次も同じようにしてくるでしょう。
褒めながら「他にもこういうやり方もあるからやってみてね」と言えば、素直に聞き入れてくれるかもしれません。
具体的に褒めることで部下も学習しますし、モチベーションもアップします。
ただ、意味もなく褒めてしまうとただ部下をよいしょするだけの残念な上司になってしまいますので、その点は注意しておきましょう。
人を褒めるというのは簡単に見えて、実は思っている以上に奥深いことなのです。
怒るのではなく叱る
これはビジネスシーンに限らず、教育の現場でもよくあることなのですが、今は怒ると叱るの違いがわかっていない方が多いです。
実際に「怒ることと叱ることの違いは?」と聞かれても答えられない方がほとんどなのではないでしょうか?
しかしながら、怒ることと叱ることには明確な違いがあります。
怒るというのは、とても感情的な行為です。自分にとって不利益だから、自分が不愉快な思いをしたから怒るわけです。
相手のことを思っているわけではなく、自分本位な行為なので怒ってスッキリするのは怒った本人だけで、怒られたほうはただただ心にダメージを負うだけです。
それどころか、理不尽なことで怒られれば恨む気持ちさえ出てくるでしょう。
一方で、叱るというのは、とても理性的な行為です。
なぜそれがいけなかったのかを諭すような感覚です。
自分の感情をぶつけるのではなく、相手のことを考えているからこそできる行為です。
叱られた側もなぜ叱られているのかその理由がわかるからこそ、自分の中で消化しやすいですし、次に活かしていくことができます。
部下が失敗をしたときに感情的になって怒る上司というのは、正直なところ、邪魔な存在でしかありません。
もちろん、人間ですから感情的になることもあるでしょうが、ビジネスシーンで感情的になっても何の役にも立ちません。
感情的になって怒ってばかりでは育つはずの部下も育たなくなってしまいます。
部下が失敗をしたときにはなぜそれがいけなかったのかあくまでも冷静に理性的に叱るようにして、その上で「次からはこうするといいよ」というアドバイスを添えるようにしましょう。
もちろん、部下には部下の言い分もあるでしょうから、その言い分もしっかりと聞いてあげることです。
改めて考えると、ごく当たり前のことなのですが、この当たり前ができていない上司があまりにも多いのです。
忙しい業界であれば気持ちに余裕がなくなって感情的になってしまうこともあるかもしれませんが、お互いのためにも冷静に理性的に叱るということを実践していくようにしましょう。
【電話応対編】部下の育成や教育を心理学的観点から考察してみる
では、最後に電話代行会社の視点から電話応対における部下の育成や教育についても心理学的観点から考察してみたいと思います。
今は電話を使う業務を嫌がる方が増えており、電話応対における部下の育成や教育というのはまさに急務とも言えます。
電話応対においてはどのような形で部下の育成や教育をおこなっていけばいいのでしょうか?
まずは、電話応対という仕事の重要性を伝えることです。
実際に電話応対というのは企業にとってとても重要なものです。
たったひとりのコールセンタースタッフのせいで企業のイメージが大幅に悪くなることもあれば、逆にたったひとりのコールセンタースタッフのおかげで企業イメージが大幅に良くなることもあるのです。
もちろん、だからこそのプレッシャーもあるものの、それだけ尊い仕事をしているということを伝えることが大切です。
もっと言うと、「この会社の顔に泥を塗るような真似はしたくない」と思ってもらえるような企業であることも大切です。
特に苦手意識を持たれがちな電話応対だからこそ、その企業のために頑張れるかどうかも重要になってくるのです。
また、電話応対に苦手意識を持っている方というのは失敗を極端に恐れている部分があります。実際に毎回同じお客様とお話をするわけではないため、毎回正解が違ってくるわけです。
これは私たち電話代行サービスの電話秘書もまったく同じですが、電話応対の訓練と経験を積むことで苦手意識は確実になくなります。
逆にいえば、訓練と経験を積めない、或いは積むことができない環境下やモチベーションではいつまで経っても電話応対の苦手意識は消えません。
そのような環境下では明確な正解がわからないからこそ、失敗への恐怖心も増してしまうのでしょう。だからこそ、失敗したときのフォローについてもしっかりと伝えておくべきです。
極端な話をすると、どうにもならないときにはより上位のスタッフに任せることになるわけです。
どんなレベルのモンスターが襲ってきたとしても一人で戦えと突き放すわけではなく、対応できるレベルではないときには他のスタッフへバトンタッチができることをきちんと伝えた上で、それを実践することも大事な仕組みです。
実際に電話越しだからこそお客様がよりいっそう感情的になってしまうというというケースは少なくありません。
どんな感情をどれだけぶつけられたとしても一人で耐えろと突き放すのはダメです。耐えられないときにはフォローやサポートがあるから安心してね!と寄り添う姿勢が大切なのです。
電話代行サービスを25年以上も運営しているとよく分かるのですが、電話応対はもともと向き不向きもありますが、他の業務よりも心理的な負担が大きくなりやすい傾向にあります。
そのことを理解した上で部下の育成や教育をしていかないと、最終的には本当に人手不足で業務が回らなくなってしまいます。
電話応対のスキルは身につけておいて損はないのですから、そのあたりのメリットもしっかりと伝えた上で部下の育成や教育をおこなっていきましょう。