「話し言葉」と「書き言葉」という表現自体はよく見聞きするものの、実はよくわかっていないという方も多いのではないでしょうか?
わかっているつもりでも、混同してしまって適切でない使い方をしているケースも少なくありません。「話し言葉」も「書き言葉」もビジネスシーンでの使い分けが大切です。
ここでは、改めて「話し言葉」と「書き言葉」について詳しくお話していきたいと思います。
話し言葉の性質とは?
話し言葉というのは、簡単に言ってしまうと日頃、人と話すときの言葉です。音声によって伝える言語とも言えるでしょう。話すときにいちいち文法を考えないように、話し言葉の場合には使い勝手が重視される傾向にあります。
ケースバイケースではありますが、基本的には砕けた感じの表現が多くなりますし、文章として考えたときに1文が短くなりやすい傾向にあります。文法がめちゃくちゃになっていても何となく伝わりますので、言葉の順番が入れ替わることもよく起こります。全体的に柔らかく、親しみを感じられる言葉と言えるでしょう。
ちなみに、話し言葉の場合には二重表現、重複表現といったものも結構使われています。例えば、ビジネスシーンで何かを説明する際に「まず最初に」と言ってしまう方は多いのではないでしょうか?
本来であれば「まず」「最初に」のどちらかでいいはずなのですが、話し言葉の場合には聞き手が違和感を覚えることもそうないですし、むしろ強調するという意味ではプラスに働きます。
話し言葉のメリット
話し言葉にはさまざまなメリットがあるのですが、まず挙げられるのが直感的に理解しやすいという部分です。さすがに支離滅裂な言葉では伝わりませんが、表現が重複していたり、文法的におかしなところがあったりしても伝わりやすいという部分が魅力です。
話すときにも親しみを感じやすいですし、話し言葉を文章化すると文章としても受け入れやすく、読みやすく感じられる部分もあります。もちろん、ビジネスシーンで常に話し言葉というわけにはいかないのですが、効果的なタイミングで使うことによって相手の心理的なハードルを下げられることもあるでしょう。
話し言葉のデメリット
話し言葉のデメリットとしては、誤解を招くリスクが挙げられます。どれだけ気を付けていても誤解されるときには誤解されてしまうのですが、話し言葉では言葉を省略するようなこともありますので誤解をされる可能性は高くなります。
また、このあたりは個人的な感覚によるのですが、日頃から文法を気にしている方が相手だと相手からの印象が悪くなってしまうこともあるかもしれません。例えば、話し言葉では「ら抜き言葉」などもよく知られていますが、ら抜き言葉を気持ち悪く感じてしまうという方もいるのです。
例)朝早くても起きれるよ。文法上は「起きられる」が正しいのです。ちなみにMicrosoft wordソフトで「起きれるよ」と入力すると文字の下にアンダーラインが引かれて注意されます。
書き言葉の性質とは?
書き言葉というのは、書類などでよく目にするお堅い表現のことを指します。基本的に文字で伝えるための言葉になります。話しているときのようになんとなく伝わるということができないため、書き言葉では正確に伝えることが重視される傾向にあります。
ビジネスシーンでやり取りする書類のようなお堅い表現が多くなりますし、文章として見たときには比較的1文が長くなりやすい傾向にあります。
話し言葉の場合には思わず方言が出てしまうようなこともあるかもしれませんが、方言は基本的に使いません。話すときには省略するような言葉も省略せずに正式名称を使うことになるでしょうし、断定するような断言するような表現が多くなり、全体的に淡泊な印象を受けます。
例えば、ビジネスシーンでは「皆様方におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」といった文章をよく目にするかと思います。これがまさに書き言葉です。相手と話すときにこの文章をそのまま口にすることはないでしょう。書き言葉というのは口にすると違和感を覚えるものが多いのです。
書き言葉のメリット
書き言葉のメリットとしては、まず誤解を招きにくいという部分が挙げられます。話し言葉が誤解を招きやすいのに対して、書き言葉になると誤解を招くリスクをぐっと抑えることができるのです。特別に難しい表現が使われていない限りは、誰にでも同じように理解してもらえるはずです。
また、誰にでも同じように理解してもらえるという部分にもつながってくるのですが、書き言葉の場合には聞き手や読み手というものを選びません。逆に言えば、性別や年齢に限らず、伝わるような言葉が書き言葉なのです。
書き言葉のデメリット
書き言葉のデメリットは、やはり淡泊な印象になってしまう部分です。淡泊というよりも、人によっては冷たい印象を受けることもあるかもしれません。それくらい話し言葉とは受ける印象が違ってきます。
また、ビジネスシーンでやり取りする書類のように難しく感じられることもあります。聞き慣れない方や読み慣れない方にとっては、理解するまでに時間がかかるかもしれません。
話し言葉と書き言葉を使うときの注意点
話し言葉と書き言葉を使うときの注意点なのですが、基本的にビジネスシーンでは書き言葉が好ましいとされています。実際にビジネスシーンでのやり取りというのはお堅い表現ばかりというイメージが強いでしょう。ただ、だからといって常に書き言葉でいけばいいというわけではありません。
例えば、最近では企業がSNSで情報を発信するようになっていますが、Twitterなどで書き言葉で投稿をしている企業というのはそう目立ちません。
どちらかというと話し言葉で親しみを込めた投稿をしている企業が多いかと思います。Twitterは比較的若い世代の方が利用していますので、話し言葉での投稿というのは効果的でしょう。
他にもブログ記事であったりキャッチコピーであったりと、書き言葉よりも話し言葉のほうが好ましいものはあります。それぞれの性質をきちんと理解した上で、話し言葉にするのか書き言葉にするのかを使い分けることが大切なのです。
【電話応対編】「話し言葉」と「書き言葉」の使い分け
最後に、電話応対における話し言葉と書き言葉の使い分けについて触れておきたいと思います。結論から言ってしまうと、電話応対では基本的に話し言葉を使うことになります。書き言葉で話すとお客様に違和感を与えてしまうからです。
ただ、話し言葉といっても友達と話すような言葉ではありません。私たち電話代行サービスでもそうですが電話応対では書き言葉をより柔らかい話し言葉に置き換えていくという感覚になります。そのため、丁寧な言葉でも柔らかい印象になり、お客様にも安心していただけるのです。