部下の育成や心のケアで悩んだり困ったりしたことはありませんか?部下を持つ立場になると、必然的に部下の育成とケアという重要な仕事が待っています。
部下の育成というのは会社を成り立たせていくのにも欠かせないことですし、ストレス社会の中で頑張っている部下の心のケアも今は必要不可欠なものとなってきたと思います。
ただ、そうとわかってはいてもなかなかなか上手くいかないものでもあります。ここでは、そんな今時の部下の育成とケアを心理学視点で良好にするコツをご紹介していきたいと思います。
部下の育成もケアも長い目で見ておくのが大前提
まず、部下の育成もケアも長い目で見ておかなければならないと思います。
冷静に考えてみると当たり前のことなのですが、人が育っていくのも人をケアしていくのも即席では出来ずそれなりの時間はかかります。
ただ、現代人は多忙のために、うっかりそのことを忘れてしまって自分勝手にイライラしてしまうときがあります。最初から時間がかかるものとして長い目で見ておく覚悟が大切だと思います。
最近では時短時短と時間をかけないのが美徳とされているような風潮さえありますよね。
確かに早ければ助かることもありますが、だからといって時間をかけることが悪いわけではありません。むしろ、時間をかけずにとにかく早くという形で進めてしまうとよくないことも多々あるかと思います。
特に、今はオンラインショッピングをすれば翌日には荷物が届き、インスタント食品であれば数分で立派な料理が完成します。
こういった世の中で、多くの方が無意識にインスタントな思考に陥っているとも言われています。そして、このインスタント思考を人間相手に発揮してしまうと様々なところで問題が生じるようになります。
ヒトやコトにもよりますが、何度も失敗を繰り返してようやく身に付けられるものもあります。長い目で見て、余裕を持って対応していかなければならないこともあると思います。
心のケアに関しても同じことがいえます。ケアが必要ということは、ダメージを受けているわけです。ちょっとしたササクレだって治るのに数日かかるのに、心へのダメージがすぐに回復するのは難しいですよね。
被災地に息の長い支援が必要なのと同じように、ケアにも長い時間をかけないとダメージは回復させられないのです。
極端な言い方になってしまいますが、部下の育成やケアを急がすというのは部下が人間であることを忘れてしまっているともいえます。
かつては自分も部下として育ててもらったわけですから、何かしらのケアを受けているはずなんです。立場が上になればなるほど昔のことは忘れてしまいがちですが、昔の自分の気持ちを思い出してみることも大切だと思います。
一緒になって部下の目標設定を考える
これは部下の育成をしていく上で押さえておきたいポイントなのですが、部下の目標設定を一緒に考えてあげましょう。
目標設定から何から何まで自己責任として丸投げでは上司としては無責任すぎますし、育つはずの部下も育たなくなってしまいます。育成というのは丁寧に手をかけてこそ成り立つものだと思います。
そして、部下に求めるものは求めるものでそのとことは明確に伝えておきます。
最終的にどうなってほしいかを伝えることで、部下も目標設定をしやすくなります。また、求められるものが明確に共有されることで、部下のモチベーションもアップしていくでしょう。
もちろん、部下と話し合って一緒に目標設定をしていくというのも一つの手だと思います。
その際には目の前のことを考えることも大切ですが、目先のことだけではなくもっと1年先など先のことまで考えるようにしたら如何でしょう。そうすることで、向き合っていることが部下にも伝わると思いますよ。
相手が真剣に自分のことを考えてくれると思うと部下は嬉しいですし、その分、期待に応えようと頑張ってくれます。上の立場の人間が何の働きかけもせずに部下が勝手に頑張ってくれるというのは幻想でしかありません。
仕事を与えるときには考える余地を与える
部下の育成にあたっては、仕事を与えるということも重要になってきます。ただ、仕事を与える際に指示を出すだけで終わってしまう方も少なくありません。要注意だと思います。
確かに指示を出すだけは楽なのかもしれませんが、それでは部下がいわゆる指示待ち人間になってしまいます。部下が自分で考え判断できるようにならないと育成とは言えません。
例えば、指示を出すだけではなく部下が自分自身で考える余地というものを残しておく必要があります。
もちろん、部下はまだ経験が浅いわけですから思うように答えが出ないこともあるでしょう。そういう場合には、ヒントを与えることも大切です。きっかけがあれば、正しい答えが出せるということはままあります。
部下の育成というのは、ある意味では子育てと似ています。
そのため、部下を持つ側としては「親でもないのにここまでしなければいけないのか......」と思うこともあるかもしれません。
逆に言えば、人を育てるというのはそれくらい大変なことです。その大変さを最初から理解しておけば、思うようにいかなくとも必要以上にイラつくことも悩むこともありませんよね。
もちろん、仕事をする上では自信も大切になってきます。
部下ができるであろう仕事を作り、それを部下に任せるという形で自信を持たせることも意識して実践してみましょう。
子どもっぽいと思う方もいるかもしれませんが、「できた!」という感覚と成功体験はいくつになっても成長過程では必要なものなのです。
あえて失敗させるのは避ける
今ある程度の立場にあるご年配の方は、自分が部下だった頃にわざと失敗させられた経験があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際に少し前までは学びのためにわざと失敗させるというような風潮がありました。一種の洗礼とも言えるでしょう。ただ、これはもうやめておいたほうがよいと考えます。
失敗自体が悪いわけではありません。人間である以上、誰だって失敗はするものですし、仮に失敗を繰り返したとしてもその中で得るものがあれば十分ともいえます。
ただ、学ばせるためにあえて失敗させるというのは時代に合わなくなってきています。というのも、今は失敗を恐れる方がとても多くなっているからです。
失敗しただけでも結構なダメージになりますが、それがわざと仕組まれたものだったとなってくると心が折れてしまう人がいるのです。もしかしてメンタルが弱いと思われるかもしれませんが、それが今を生きる若い人の特徴でもあります。
今はあえて失敗させるのではなく、失敗のリスクがある場合にはそれを事前に告知して、指導をした上で失敗を避けるような形に持っていくほうが望ましいでしょう。そのほうが結局は部下のモチベーションもアップしてきます。
これは甘やかすということではありません。時代や人によって臨機応変に対応を変化させていくことを重視するという視点です。
それと、部下が失敗してしまったときには絶対にフォローをしてください。責任を丸投げしたり、放置したりするのは絶対にNGです。
なぜ失敗をしてしまったのか、どう改善していくべきなのかを一緒に考えていくのはもちろんですが、失敗した分、部下にチャンスを与えるということも忘れないようにしましょう。
褒め方にも一工夫する
褒めることは部下の育成にもケアにも欠かせないことです。人はいくつになっても褒められることで、モチベーションはアップしていきます。
ただ、だからといって単純に褒めればいいというわけでもありません。下手に褒めると見透かされて逆効果を生むこともあります。褒め方にも一工夫した方が効果の出方が変わります。
例えば、褒めるときは部下が頑張ったことを具体的に褒めるようにしましょう。
もともと特別な才能やスキルを持っていることもあるでしょうが、そういった部分よりも部下が頑張ったところを褒めることが大切です。
頑張ったことを褒められるというのは嬉しいことですし、「この人はきちんといつも自分のことを見てくれている」という安心感と信頼感も生まれてきます。
さらに、部下自身が気づいていないようなところを褒めるのも効果的です。
自分のことを見てくれているという安心感に加えて、自分の新しい一面を発見することで自信が持てるようになります。そこから部下が伸びていくということも十分にあり得ます。
その人自身が気づいてないところを褒めるテクニックは、心理学でよく活用される「ジョハリの窓=盲点の窓」の応用編です。
ちなみに、少し高度なテクニックになってきますが、本人ではなく周りの人に「○○さんの企画、本当によかったよね~」という感じで間接的に褒めるやり方もあります。
他のところで自分を褒めているらしいという情報が部下本人に入ってくると、やる気も俄然アップします。
感情的に怒るのではなく、冷静に叱る
前回の記事でも少し書きましたが、まず怒ることと叱ることの違いをきちんと理解しておかなければいけません。怒るというのはとても感情的な行為で、お互いにつらいだけで何も生み出しません。この怒るという行為は部下だけでなく友達でも夫婦でも同じです。
一方で、叱るというのはとても理性的な行為で、良好な関係を築きながら部下を成長させることができます。わかってはいるのですが怒ることと叱ることを混同しないように細心の注意を心掛けたいものです。
部下の育成をしていく中で、叱るシーンは確実に出てきます。
冷静に事実を伝えて、部下の言い分にもしっかりと耳を傾けましょう。逃げ道を塞いで追い込むのはいけません。でも部下の言い分がただの言い訳なのであれば、それについても指摘していかなければいけません。なかなか難しいですね。
怒るのは簡単ですが、叱るのは結構大変です。ただ、叱るからこそ部下は成長していくことができるのです。
怒っているだけでは、部下はただ耐えるだけで本当に必要なことが頭に入りません。叱られるからこそ、反省しつつもしっかりと得るべきものと得られるようになります。
ひとりひとりキャパシティが違うことを忘れない
これは世間一般にも言えることなのですが、苦労人ほど「自分がこれだけ苦労したんだから他の人も十分耐えられる」といった思考の罠に陥りがちです。
しかしながら、人間のキャパシティというのは言うまでもなく一人ひとり違います。これをしっかり忘れないようにしておかないと、部下の育成もケアもままなりません。
一人ひとり得意としている業務も違えば、一度にこなせる業務の量も異なります。
ちょっとしたことが大きなストレスになってしまうタイプもいれば、そうそうストレスは感じないというタイプもいます。部下ひとりひとりを見て、対応を変えていくのが上に立つ者の務めになります。
特に、今はストレス社会ですし、何をしているわけではない状態でも誰もがそれなりのものを抱えることになります。
自分は大丈夫でも、相手は大丈夫ではないかもしれない?というある意味当たり前のことを意識して思いやりと少しの余裕があれば、部下へのケアも違ってくるはずです。
【電話応対編】部下の育成とケアを心理学視点で良好にするコツ
部下の育成とケアを心理学視点で良好にするコツということでお話をしてきましたが、最後に電話応対における部下の育成とケアを心理学視点で良好にするコツについても触れていきたいと思います。
渋谷オフィスの電話代行サービスでは、新人さんが入社しますと6ヶ月間の研修期間があります。恐らく他のどの電話代行会社より長い研修期間かと思います。研修期間の詳細はこちら >
研修期間中は先でご説明したこともちろんなのですが様々な研修が行われます。その中の一つに電話応対においては不満をため込まないようにすることが大切になってきます。
コールセンターや電話代行の電話応対は一般的にもよく知られていますように、心理的な負担の大きな業務になります。そのため、ちょっとした不満が積もり積もって電話対応に影響が出たり、さらには退職ということにもなりかねません。
だからこそ、部下の育成や心のケアにおいても不満をため込まないことを特に強く意識していく必要があります。不満をため込んでいる電話秘書が「笑声」で爽やかに電話にでられるはずがありませんよね。
部下という立場でも不満が言える環境を整えて、その不満がもっともであればそういった不満の声が出ないようにしっかりと改善し、反映していく......こういった本当の意味での働き方を改革していくことが大切だと考えています。