自分としては一生懸命に話をしているのに、相手があまり聞いてくれない、相手に響かないといったことで悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
同じ内容の話であったとしても、話し手の話し方次第で相手の食いつきというのは変わってくるものです。では、どのような話し方を実践すれば相手が食いついてくれるようになるのでしょうか?
ここでは、心理学的なアプローチから相手の心を瞬時につかむ話し方についてご紹介していきたいと思います。
適度に相手の目を見る
相手に話をするとき、「相手の目を見るのはどこか恥ずかしい......」とあえてあまり相手の目を見ないようにしているという方も多いのではないでしょうか?
野生動物においては目を合わせることが威嚇につながることもあり、そういったことも考慮してあまり目を合わせないようにしているという方もいるかもしれません。しかしながら、それは逆効果です。
もちろん、どれくらいの時間なのか、どのような目つきなのかという部分も関係してくるのですが、人間が目を合わせることというのは好意や信頼といったものにつながる行為にあたります。
特に、話をしているときに相手の目を見るかどうかというのは話し手の印象だけではなく、話の信憑性まで左右することになるのです。
例えば、いろいろと話をしてくれるのに相手が一向にこちらを見ない、目を合わせてこないというシチュエーションを思い浮かべてみましょう。
「嘘をついているのかな?」と思う方もいるでしょうし、「何かやましいことがあるんじゃ......」と勘繰ってしまう方もいるでしょう。
嘘をついているわけでもなく、何かやましいことがあるわけでもないのに、相手を見ない、目を合わせないというだけで話し手の印象も悪くない、話の信憑性も疑われてしまうのです。
今まで話すときには相手の目を見ないようにしていたという方は、是非相手の目を見ながら話す癖をつけてみてください。
仮に同じ内容の話であったとしても、目を見るようにするだけで相手に与える印象も相手の反応も違ってくるはずです。
ただし、適度に目を合わせるということを意識していかないと逆効果になってしまうこともありますので、注意が必要です。ずっと見つめ続けると威圧的な印象を与えてしまうこともありますので、時々目線を横にずらしながら相手の目を見て話す時間というものを今までよりも多く確保するようにしてみましょう。
相手の名前を呼ぶ
話をするときに、相手の名前を呼ぶというのも効果的です。
「相手の名前を間違えたらどうしよう......」といった不安からあえて相手の名前を呼ばないようにしている方もいるのですが、相手の名前を覚えるためにも意識して相手の名前を出したほうがいいでしょう。
なぜ相手の名前を呼ぶのがいいのかというと、そこに返報性の法則が働くからです。
返報性の法則というのは、自分に何かしてもらったら相手にも何かをお返ししないといけないと思うような心理効果のことを指します。
名前を呼ぶということは、言ってしまえば「あなたに好意を抱いていますよ」というサインになります。
名前を呼ばれることによって無意識のうちに「あ、この人は好意を持ってくれているんだ!じゃあ自分も好意をお返ししないと......」という感覚になってしまうわけです。
その結果、名前を呼ばれることによって名前を呼んでくれた相手に対して心を開くという流れになるのです。
ただし、名前を呼ぶ頻度が多すぎたり、そこまで親しくもないのにニックネームや下の名前で読んだりするのは逆効果です。「慣れ慣れしい」と思われてしまうと、そこで終わりです。その点は注意しておきましょう。
最初のうちは勇気がいるかもしれませんが、会ったときや別れるときなどに意識して名前を呼ぶところから始めていきましょう。会ったときや別れるときに名前を呼べるようになったら、会話の中で少しずつ名前を呼ぶ回数を増やしていきましょう。
オープンな姿勢を心がける
話すときというのは、多くの方が言葉に自分の気持ちを込めるものと思っています。
確かに言葉に気持ちを込めてコミュニケーションを取っていく部分はあるのですが、言葉がすべてというとわけではありません。
というのも、人間は言葉以外の部分でも無意識のうちに自分の気持ちを訴えようとするものなのです。
例えば、姿勢です。
自分にとって嫌な話をするときやあまり好ましくない相手と話をするときというのは、無意識のうちに胸の前で腕を組むといったことがあるかと思います。
怒っているときに胸の前で腕を組むといったこともあるでしょう。このように何気ない姿勢でも、自分の気持ちを相手に対して発信しているのです。
相手は相手でそういった姿勢から発信されている気持ちを敏感に感じ取るものです。
だからこそ、話すときというのは言葉だけではなく、自分の姿勢にまで気を配っていかなければいけないのです。
言うまでもなく、腕組みというのは絶対にNGです。むしろ、両手を広げてオープンな姿勢を見せていく必要があります。
両手を広げるなどのオープンな姿勢というのは、言ってしまえばとても無防備な状態です。
相手に対して無防備な状態を見せることによって、「私はあなたを信頼しているんですよ」というサインを発信することができるのです。
そういうサインを相手が受け取れば、先でも触れた返報性の法則で相手も心を開いてくれるようになります。
対面して話をしているとき、お互いに話している内容だけではなく、相手の声色であったり表情であったり姿勢であったりとさまざまな部分を見ているものです。
逆に言えば、話の内容がどれだけ魅力的なものであっても、それ以外の部分から受ける印象が悪ければトータルでの評価はマイナスになってしまいます。
「話すんだから話す内容だけ考えればいい」という考え方は危険です。
それではいつまで経っても相手の心をつかめないままでしょう。
相槌を打つ
相手の心をつかむ方法を知りたいという方にとって、相槌というのは自分が打つものではなく、相手に打ってもらうものという感覚があるかもしれません。
しかしながら、自分が相手の話に相槌を打つということも相手の心をつかむ上でとても大切なポイントになってきます。
相槌というのは、「あなたの話を一生懸命に聞いていますよ」というサインになります。
もちろん、話し手は自分であっても一方的に話すわけではありません。むしろ、そうなってはいけないのです。
キャッチボールをしていかなければいけないのですから、相手の話を聞くことも必要ですし、聞いているというアピールも欠かせないのです。
一般的にも「聞き上手はモテる」と言われるものですが、聞くのがうまい人というのは好感を持たれやすい傾向にあります。
聞くのがうまい人というのは、効果的に相槌を打っているものです。極端な言い方をすると、あまり相手の話の内容が頭に入ってこないという場合でも相槌でイメージアップを図ることができるのです。
話を聞いてもらえると、人間というのはそれだけで気持ちがよくなるものです。
話し手であればその気持ちはよくわかるでしょう。
だからこそ、相手の話に対して積極的に相槌を打って、相手から信頼を引き出した上で話を進めていったほうがいいのです。
ただ、注意しておきたいのが不必要な相槌を打たないということです。
営業職などの方に多いのですが、相槌が癖になっているのか相手が話をしていないのにも関わらず相槌を打ってしまったり、自分で話をして自分で相槌を打ったりするケースが目立ちます。
本人はそれが当たり前になっているのですが、相手にしてみれば不自然極まりないですし、一方的な印象を与えてしまいます。
あえて沈黙を活かす
誰かと話をしているときの沈黙が苦手という方も多いのではないでしょうか?
沈黙が苦手だからと、沈黙が訪れたときには必死で話題を見つけるようにしているという方もいるかもしれません。
もちろん、その気持ちもよくわかるのですが、相手の心をつかみたいのであればあえて沈黙を活かすようにしましょう。
変な言い方になってしまうかもしれませんが、沈黙というのは耐えられなくなったほうが負けとも言える部分があります。
逆に言えば、沈黙により長く耐えられたほうが主導権を握るのです。
実際に心理カウンセリングなどでもあえて沈黙のままにして、クライエントの本音を引き出すといった手法が使われています。
※臨床心理学を学んだ心理カウンセラーはクライアントではなくクライエントと言います。
もちろん、お互いに気まずい部分はあるでしょう。
ただ、相手が沈黙を破って何かを言うとするのであれば、そこにはその人の本音が隠されている可能性もあります。
沈黙を破るときの言葉から相手の心を読み取るということもできなくはないのです。仮に読み取るまではいかなくとも、そのヒントを得られる可能性はかなり高いです。
ただし、沈黙も意識的に作ればいいというものではありません。
沈黙の時間というのは相手の本音を引き出せるチャンスでもあるのですが、相手に不快な思いや不安な思いをさせる時間でもあります。
沈黙が長すぎると、「この人、何考えてるの?」と思われてしまう可能性がありますので、沈黙のタイミングと長さには注意しておきましょう。
特に、沈黙を苦手としている方にとってはなかなか実践しがたいテクニックかもしれません。
最初の数回は失敗して自分のほうから沈黙を破ってしまうこともあるかもしれませんが、相手の本音を引き出すためにも主導権を握るためにも積極的にチャレンジしていきましょう。
【電話応対編】相手の心を瞬時につかむ話し方
先でご紹介したテクニックの中には、私たち電話代行サービスでもそうなのですが電話応対でも活かせるものもあります。
目を合わせたりオープンな姿勢を取ったりというのはやはり実際に対面しているからこそできることでもあります。
電話越しに声のみでやり取りをする電話応対であれば、また別のテクニックを実践していく必要があります。
例えば、実際の会話量と相手が印象として受ける会話量には結構な差があります。
例えば、自分が3割、相手が7割くらいの会話量であっても、相手はお互いが同じくらいの割合で話しているような印象を受けます。
つまり、相手が受ける印象を考えると実際の会話量というのはかなり控えめにしていかなければいけないのです。
また、相手に話し方を合わせるのもポイントです。
人にはそれぞれもともと持っている話し方というものがあります。
早口でハキハキと話す方もいれば、ゆっくりと話す方もいるでしょう。
もともとの話し方を変えるのは難しいかもしれませんが、電話応対においては相手の話し方に合わせることで相手の心をつかめるようになります。
話し方を相手に合わせるというのは、「ミラーリング」と呼ばれるテクニックになります。
電話秘書で毎日電話応対をしているとわかるのですが、自分と似ている話し方の相手には親近感を覚えますし、そういったところから信頼関係を築いていくことができます。
ただし、モノマネのようになってしまうと相手を不愉快にさせてしまいますので、その点は注意が必要です。
電話代行サービスの電話応対も一般企業の電話応対も、コミュニケーションという意味ではまったく同じものですので、私たち電話秘書の経験が少しでも貴社の電話応対にお役立ていただけるヒントになれば幸いです。