いろいろな人との関わりの中で成り立っているのが社会なのですが、その中で「いいな」と思う相手に出会うこともあるでしょう。「いいな」と思うということは、相手に魅力を感じているということです。
しかしながら、なぜ私たちは相手に対して魅力を感じるのでしょうか?ここでは、相手に対して魅力を感じるときの心理について触れていきたいと思います。
いろいろな意味で近い存在だと感じるから
例えば、何人かが集まっているような場にいたとします。仮にその場を自由に動き回れるとしても、誰かに話しかけるとしたらとりあえず近くにいる人に声をかけるのではないでしょうか?
無意識にやっている方もいるかもしれませんが、実は物理的に近い相手のほうが親しみを感じやすいのです。
また、接する機会の多い相手にも魅力を感じやすくなります。通勤や通学で電車を使っているという方も多いでしょうが、その電車で頻繁に見かける相手というのは何となく気になってしまうものです。
相手がどこの誰とも知れない中で、頻繁に見かけるというだけで気になる存在になってしまうのは、単純接触効果(*1)というものが働いているからです。
単純接触効果というのは文字通り、単純に接触する機会が多ければ多いほど好感を持つという心理的効果のことを指します。目にすることが多い、会うことが多い、話すことが多い......こういった何気ないところから、魅力を感じるようになることもあるのです。
自分と似ている部分を持っているから
「同族嫌悪」という言葉がある一方で、人は自分と似ている部分を持っている相手に魅力を感じてしまうものです。同族嫌悪における「嫌悪」というのも、結局は感心があるからこそ嫌悪感を抱いてしまうわけです。
自分と似ている部分を持っている相手は、無視できないですし、どうしても気になってしまうものなのです。
自分と似ている部分を持っている相手になぜ魅力を感じてしまうのかというと、ひとつは意見が一致しやすいというところが挙げられます。特に、日本人は人と違う意見を述べることに抵抗感を持つ方が多いです。人と同じだと安心しますし、その安心感が相手への好意につながってくるのです。
また、自分と似ているからこそ理解しやすい部分もあります。人間は理解できないもの、理解しにくいものに本能的に恐怖を感じてしまうものです。
理解しやすいからこそ、相手のことがよくわかり、わかるからこそ得体のしれないものを相手にしているときのような恐怖感や不安感を抱かずに済むのです。一緒にいて安心できる相手に魅力を感じないわけがありません。
そして、仲間意識です。それまで特に親しくなかった相手でも、共通点が見つかると仲間意識が芽生え、一気に距離が近づきます。特に、自分の好むものなどで共通点があると仲間意識がぐっと強くなりますし、仲間がいるという安心感がここでも出てくるわけです。
自分にないものを持っているから
人間は自分と似ている部分を持っている相手だけではなく、逆に自分にないものを持っている相手にも魅力を感じるものです。
例えば、リーダーには向かない控えめなタイプの方であれば、率先して人をまとめられるようなリーダー気質の人に憧れを抱くこともあるでしょう。もちろん、逆のパターンもあり得ます。
なぜ自分にないものを持っている相手に魅力を感じてしまうのかというと、無意識のうちに自分に足りない部分を相手で補おうと考えるからです。
カップル向けのアクセサリーなどではそれぞれのパーツを合わせることでひとつの形になるといったものがありますが、まさにそれと同じです。パズルのパーツを組み合わせるように、自分と相手を組み合わせてしまうのです。
また、少し嫌な言い方になってしまいますが、自分をもっとよりよいものとしていくために、相手が必要だという部分もあります。自分にとって必要なものだからこそ、魅力的に感じられるということもあるのです。
相手のことをよく知っているから
ひとつの場所に不特定多数の人がいたとします。その中にはまったく知らない人もいますし、よく知っている人もいます。その場所で誰かに話しかけるとなったら、やはりよく知っている人を選ぶのではないでしょうか?相手のことをよく知っていると、それだけで親しみやすいですし、魅力も感じやすくなります。
また、最初はあまり好きではなかった相手、むしろ嫌いだった相手でも、相手のことをよく知ることによって好きになっていくということもあります。よく知ることによって好きになれる要素が見つかるのに加えて、よく知っているからこその安心感というものを抱くようになります。
よくわからないものに対して、人間は本能的に不安感や恐怖感を抱いてしまうものです。幽霊やおばけが怖いというのも、幽霊やおばけというものがハッキリしていないからこそなのです。
幽霊やおばけが科学的でも物理的でも何でもいいので、その存在が解明されてしまえば不安感や恐怖感もなくなっていきます。
このように極端に言ってしまうと、よくわからない相手というのは幽霊やおばけと同じようによくわからないからこその不安感や恐怖感を抱いてしまうのです。
相手のことをよく知ることによって、相手のことがどんどん解明されていくとその不安感や恐怖感もなくなり、逆に安心できるようなります。安心感が人を惹きつけるというのは、言うまでもありません。
相手がよくしてくれるから
プレゼントを渡してくれるときに本心から「お返しは気にしなくていいから」と言ってくれる方は少なくありません。相手なりの気遣いなのですが、そう言われてもプレゼントを受け取ったら何かをお返ししなければいけないと思ってしまう方も多いのではないでしょうか?
これを「返報性」といいます。特に、日本人はこの傾向が強いと言えるかもしれません。
また、自分はそこまで相手に好意を抱いていなくとも、相手のほうが自分に多大な好意を抱いていると何となく自分も相手のことを好きになってしまうというケースもあります。
実際に一方から熱烈なアプローチを受けて、そのままゴールインして幸せになっているご夫婦も少なくありません。これも一種の返報性と言えるでしょう。
要は、「相手が自分のことを大切にしてくれている」「相手が自分のために頑張ってくれている」といったことがあると、自分も相手のために何かをしたくなるのです。
お店でサービスをしてもらったから、またそのお店に行こうというのもまさにその感覚です。
特に、自分が弱っているときや自分が不利な状況にいるときに、味方になってくれる相手や優しくしてくれる相手というのはより強く惹きつけられることになります。
「周りが全員敵でもその人だけは味方」という状況であれば、より強く相手に魅力を感じるようになりますし、それこそ神格化されてもおかしくありません。
見た目が魅力的だから
「見た目よりも中身が大事」という表現は一般的にもよく見聞きするものですが、やはりなんだかんだで見た目に魅力を感じる方は多い傾向にあります。
例えば、髪もボサボサで服もヨレヨレな人と髪も服もきちんとセットしている人であれば、後者を選んでしまうかと思います。仮にどれだけ心がキレイであったり性格がよかったりしても、それはぱっと見ではわかりません。
もちろん、見た目が自分の好みであるから魅力を感じるということもあります。例えば、自分の中で思い描いている理想像に合致するような人物が現れたとしたら、多少中身に問題があったとしても心が惹かれてしまうでしょう。
視覚から入ってくる情報というのは、それほどまでに大きな影響力を持っているのです。
また、見た目から「きっと性格のいい人だ」「きっと地位のある人だ」と相手への評価に自分の願望が反映されることもあります。
その人が持つ特徴からその人の評価までもが変わってくることをハロー効果と呼びます。ハロー効果は「光背効果」「ハローエラー」と呼ばれることもあります。
就職活動や転職活動での採用において、見た目に恵まれている人ほど良い結果を出しやすいというのもまさにハロー効果によるものと言えるでしょう。
極端な言い方をしてしまうと、中身が伴わなくとも見た目だけでより高く評価されてしまうことがあるのです。
ただし、見た目によって評価を歪めてしまうからこそ、相手に対して期待しすぎてしまったり、現実とのギャップで一方的にガッカリしてしまったりすることもあります。
期待に応えなければと相手に無理をさせてしまうこともありますので、注意も必要です。
【電話応対編】相手に対して魅力を感じる心理
これまでは実際に対面することを前提にお話ししてきましたが、私たち電話代行サービスでも気を付けている電話での応対についても触れておきましょう。
実際に対面することのない電話応対でも相手に対して魅力を感じることがありますが、そこにはどのような心理が働いているのでしょうか?
まず、男性と女性であれば、女性のほうがそれだけで印象がよくなります。営業の電話などにおいては、男性よりも女性のほうが結果を出しやすいと言われています。
おそらくこれには女性の持つイメージが大きく影響しているのでしょう。
女性というのは一般的に柔らかく、優しいイメージを持たれやすいものです。そのため、相手が警戒心を解き、好意を持ちやすいため、良い印象を与えやすいと言われています。
電話代行は電話秘書、秘書代行とも呼ばれていて、電話に出るのは必ずといっていいいほど女性です。そこにはこのような心理的な意味もあって女性が電話にでたほうが企業の印象が良くなるからです。
同じように代わりに電話を受ける仕事でもコールセンターと呼ばれているところは男性の方も電話に出ます。テレビショッピングの通販受付などは男性の方に遭遇した方もいらっしゃるかと思います。
また、話すペースなども相手の心理に影響します。
例えば、早口でまくし立てられると怒られているわけでもないのにそれだけで怒られているような感覚になりますし、恐怖感すら抱くこともあります。うんざりしてしまっていら立ちを感じるという方もいるでしょう。
逆に、聞き取りやすい穏やかなペースで話されると聞く気もないのに話を聞いてしまいますし、相手にも漠然と良い印象を持ってしまうのです。聞き取りやすいことでストレスも感じませんし、穏やかなペースで相手は余裕のある人だと思えるのです。
さらに、声色でも印象は変わります。
丁寧な言葉遣いであっても感情のない低いトーンで淡々と話をされると、ロボットのような冷たい印象を持ってしまいます。
しかしながら、多少言葉遣いに問題があったとしても気持ちが伝わってくるような声で言葉に詰まりながら話をしてくれたほうが好感は持てます。もちろん、声色にも適したシーンというものがあるでしょうが、声色から受ける印象で相手の評価も変わってきます。
このように電話での会話だけでも、印象はまったく違ってくるのです。
対面しているときには相手の表情や身振り手振りなどでも情報を得ることができるのですが、電話となってくると電話越しの会話でしか判断することができません。だからこそ、相手の話し方や話すペース、声色などによりいっそう強く意識することになるのです。
電話応対ひとつで企業のイメージを左右してしまうということでもありますので、電話での会話というのは対面での会話以上に気を付けなければいけないと言えるでしょう。