こんにちは。電話秘書として日々さまざまなお客様と電話でやりとりしている私から、電話対応において必ず役に立つ「丁寧語」についてご紹介します。
電話では相手の顔が見えない分、言葉づかいがそのまま会社や個人の印象に直結します。正しい丁寧語を身につけておくことで、信頼される応対ができるようになります。
丁寧語とは?
「丁寧語」とは、相手に対して敬意を表す言い回しのひとつで、語尾を「〜です」「〜ます」などに整えたり、言葉そのものを丁寧な表現に言い換えることを指します。
電話対応では特に、尊敬語・謙譲語・丁寧語のバランスを意識することが大切です。
よく使う丁寧語の例【基本編】
以下は、よく使う丁寧語をまとめた表です。これくらいは、ざっくりと覚えておきましょう。
カジュアルな言い方 | 丁寧語での言い換え | 使用例 |
---|---|---|
いる/いますか? | いらっしゃいますか? | 「○○様はただいまいらっしゃいますか?」 |
言ってました | おっしゃっていました | 「○○様がそのようにおっしゃっていました」 |
知ってます/知ってる | ご存じです | 「こちらの件はご存じでしょうか?」 |
やってます/やってる | 行っております | 「本日10時より実施しております」 |
わかりました | かしこまりました | 「かしこまりました、承知いたしました」 |
すみませんが… | 恐れ入りますが… | 「恐れ入りますが、もう一度お名前を伺えますか?」 |
聞いてください | お伺いください | 「担当者にお伺いしてまいります」 |
電話応対でよく使う丁寧なフレーズ
以下のトピックでは、電話応対でよく使う丁寧なフレーズについて、「取り次ぎ時」「相手の名前を確認する時」「確認や復唱をする時」などの電話応対のケースについて解説します。
・取り次ぎ時
電話応対で相手を担当者に取り次ぐ際や、担当者が不在の場合には、丁寧で安心感のある言い回しがとても大切です。言葉の選び方ひとつで、相手に与える印象は大きく変わります。
「少々お待ちいただけますでしょうか。担当者におつなぎいたします。」
「○○はただいま席を外しております。戻り次第、折り返しご連絡いたします。」
取り次ぎの場面では、一方的に処理する印象を与えないことが大切です。相手に対して「待ってもらう理由」「後で連絡する意志」を丁寧な言葉で明確に伝えることで、安心感と信頼感のある電話応対につながります。
・相手の名前を確認する時
電話では、音声だけのやりとりになるため、名前を聞き間違えたり、正確に聞き取れなかったりすることはよくあります。だからこそ、相手の名前を丁寧に、失礼のない形で確認する表現がとても重要です。
「恐れ入りますが、もう一度お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「お名前をフルネームでお伺いしてもよろしいですか?」
名前を確認するという行為は、相手にとっては「自分を覚えてくれているか?」「正確に伝わっているか?」といった信頼や安心感に直結するポイントです。
聞き返す際には、「聞き取れなかった」という自分側の事情を正直に伝えつつも、失礼のないように丁寧な言い回しを心がけましょう。
・確認や復唱をする時
電話でのやりとりでは、相手の声が聞き取りづらかったり、情報を間違って受け取ってしまうことがあります。
特に「名前」「電話番号」「日付」「時間」「住所」などの重要な情報は、復唱して確認することがとても大切です。復唱や確認は、単に自分のためではなく、相手に安心してもらうための丁寧な気配りでもあります。
「念のため、復唱させていただきます。」
「お間違いがないか、確認させていただいてもよろしいでしょうか?」
電話での確認や復唱は、「ミスを防ぐため」だけでなく、相手に対して丁寧で誠実な印象を与える大切なステップです。特にビジネスシーンでは、一言そえることで信頼感が大きく変わります。
電話を切る前のひとこと
電話応対では、内容を伝えることそのものと同じくらい、電話の締めくくり方も重要です。最後のひとことは、相手に与える印象を左右する「余韻」となり、丁寧で感じの良い対応だったかどうかを決めるポイントになります。
きちんとした言葉で電話を終えることで、相手に良い印象を与えることができますよ。
「本日はお電話ありがとうございました。」
「失礼いたします。」
来る返しになりますが、電話は顔が見えないからこそ、「言葉のしめくくり方」でその応対全体の印象が決まります。最後まで丁寧な言葉を使い、余韻のある対応を心がけることが信頼につながります。
「ありがとうございました」と「失礼いたします」をきちんと添えることで、相手に礼儀正しく、気持ちの良い電話だったと感じてもらえるはずです。
ポイント:不自然に堅すぎない、温かみのある対応を
丁寧な言葉づかいは、電話応対において基本中の基本ですが、「丁寧=堅苦しい」ではありません。あまりに形式的すぎると、冷たくよそよそしい印象を与えてしまうこともあります。
特に電話では相手の表情が見えないため、声のトーンや話すスピード、言葉の選び方が相手に与える印象に直結します。語尾を優しく、話す速さを少しゆっくりめにすることで、明るく柔らかい雰囲気を伝えることができます。
「正しさ」だけでなく「親しみ」や「安心感」も大切にすることで、心地よく信頼される電話対応につながります。
丁寧語は信頼の第一歩
丁寧語は単なるマナーではなく、相手への敬意と心配りを言葉で伝える大切な手段です。
とくに電話対応では、限られた言葉のやりとりだけで相手と信頼関係を築かなければならないため、丁寧な言葉づかいが与える印象の重みは想像以上に大きいものです。
最初は少し堅苦しく感じたり、うまく言い回しが出てこなかったりするかもしれません。ですが、繰り返し使っていくうちに自然と身につき、無理のない丁寧さがあなたの言葉ににじみ出るようになります。
大切なのは、「正しい言葉を使う」ことよりも、「丁寧に伝えようとする気持ち」を忘れないこと。ぜひ自信を持って、明るく、温かみのある電話応対を心がけていきましょう。