今回は、顧客の視点から見た企業の電話応対の重要性について考えてみたいと思います。近年、顧客が企業に問い合わせの電話をかけても、以前のように人間が直接応対してくれるのではなく、自動応対システムからチャットボットや企業のQ&A集を案内されて終わり。人が一切出てこないということもあるようです。
企業における電話応対の自動処理化
先日、電気代を払い忘れていたようで、そのことに気づかずにいると電気会社から督促状が届いていました。丁度そのタイミングで払い忘れていた電話代らしき明細をコンビニに払っていたので、督促状にも書いてあった支払いの行き違いかな?と思っていると、その後電気会社から電気契約打ち切り予定日の督促が届き非常に驚きました。
結果的に私の払い忘れだったということなのですが、これはまずい!と急いで督促状に書いてあったお問合せ先に電話をかけると、自動音声システムによる案内が流れ、お問合せの要件に合わせてプッシュ通知すると、企業のQ&A集のようなリンク (URL) を送るから電話を切ってお待ち下さいというような音声ガイドが流れました。
いやいや、こちらは問題を早く解決したいので、その解決方法を担当者にすぐに教えて欲しいという思いだったのですが、お問合せ電話をかけて一切人が出ずに全て自動応対、自動システムに流されるというのは非常に顧客心理として腹立たしく、企業への信頼はガタ落ちでした。
もちろん払い忘れた私に非があるので、一方的にということではありませんが、問題を解決したいという顧客に対して企業側からシャットダウンしてしまうのは非常に残念なことです。
お問合せの自動化は顧客とのコミュニケーションを排除する
少し前、例えば COVID 前であれば、お問合わせの電話をかけて大分待たされることもあるかもしれませんが、お問合せの要件に応じて担当部門のスタッフが応対してくれて、人対人のコミュニケーションによってお問合せの要件が解決されていたと思います。
このような背景には、日本社会が抱える構造的な人手不足やAIの発展によるものもあるのだと思いますが、私が今回経験したように、お問合せに対して一切人が応対しないというのは、顧客心理の面からすると、会社の信頼を失ったり、印象の悪化、契約の解除につながるものだと思います。
日本は世界一の少子高齢化を迎えていますので、労働市場の人手不足は今後一層深刻な問題だと思います。ですからDX化やAIブームに乗って解決策を見つけるべきですが、全てを自動化してしまうのは、顧客視点からして非常に問題があると感じます。
これは今後の課題ではないか?と考えています。確かにAIなどを利用したチャットボット、お問合せ集、Q&A集のようなページを用意して自動化して対応するというのは便利であり、コストカットにもつながるのかもしれませんが、人が電話応対するというオプションも必ず残しておくべきだと思います。
日本経済の深刻な人手不足
直近の国内統計、2023年12月13日に発表された日銀短観、雇用人員判断D.I.を見てみると、大企業も中小企業も人手不足が一段と深まっているのが確認できます。
🇯🇵 人手不足 一段と
-- 後藤達也 (@goto_finance) December 12, 2023
さきほど発表の日銀短観。大企業も中小企業も人手不足が深まっています。人手不足は賃上げや値上げにつながりやすくなります。一方、中小企業を中心に採用難が経営を圧迫したり、十分にサービスできなかったりするという面もあります https://t.co/OEFFWQFXUS pic.twitter.com/07QdOo4NHy
人手不足の深刻さをグラフで確認すると、過去に大底をつけた1990年、2018年の水準に近い状態になっています。この状況は、中小企業を中心に採用難が経営を圧迫したり、十分にサービスが行き届かないという面が既に出ています。
今回私が遭遇した、企業にお問合せの電話をかけても人に応対してもらえず、全て自動システムで返されるというのもこのような背景が影響していそうです。大手企業や中小企業も人手不足でこのように仕方なくコストカットの一環で、人間から自動化へとシフトしているのは理解できます。
しかし全てを自動化、システム化してしまうと必ず弊害が起こります。今回は大手企業であり、ある種生活のインフラですので、電気会社を変えるなんて面倒なことはしませんが、もしこれがサービスや商品の会社であれば、私は新しい会社に乗り換えていたかもしれません。
人手不足が深刻になろうが、AIが今後も発展しようが、ビジネスしている相手が人間である以上コミュニケーションの手段は必要だと思います。ここを読み間違ってしまうと顧客離れにつながることは間違いないと思います。
顧客心理への影響
今回の件に関して、どこが問題だったのか?を顧客心理の観点から検証したいと思います。今回のケースでは、公共料金 (電気代) の払い忘れてしまい、一方的に契約解除の予告を受けたことで、こちらも急いで問題を解決しなければいけないことに気づき、お問合せ先に電話したところ、企業側は一切人間が応対することなく、自動応対システム的なものに流されたことです。
企業側の問題としては、問題を解決する意思のある顧客を、人を持って電話応対しないという選択をしてしまっていることで切り離してしまっていることだと思います。問題解決する意思のない顧客であれば、一方的な企業側のシャットダウンは仕方ないと思いますが、問題解決する意思がある顧客までも同様に排除してしまうのは非常に問題だと感じました。
当初は、電話で問い合わせて問題を解決したいと思っていましたが、それが叶わず、私の場合、支払いの督促状を持っていましたので、ダメ元でコンビニに支払いに行ったところ支払うことができ事なきを得ましたが。
電話代行サービスの活用
企業における電話業務、電話応対するスタッフが足りない場合、自動化なども取り入れつつ、電話代行サービスを併用することをご提案したいと思います。
電話代行サービスであれば、人を雇う必要がなくコストの大幅な削減にもなりますし、プロの電話秘書が電話応対しますので即戦力になります。
これからの日本経済でビジネスを長く存続させていくには、電話代行サービスのような外部サービスも上手く取り入れていくことは必須ではないかと思います。
また、どんどんと、これまで人が対応していたものが自動化・簡略化されるからこそ、どこまでが許容されるのか?やり過ぎるとどうなってしまうのか?を理解しておくことも大切でしょう。