スピーチやプレゼンを得意としている方というのはそう多くありません。むしろ、スピーチやプレゼンをせずに済むのであれば一生しないままでいたいという方がほとんどでしょう。
特に、日本人は国民性なのかシャイな部分がありますので、そういうタイプの方が多いかと思います。ただ、だからといって避けられないのがスピーチやプレゼンです。
せっかくスピーチやプレゼンをするのであれば誰もがうなるような達人を目指していきたいものです。ここでは、スピーチやプレゼンの達人を目指す上での心理学的なテクニックをご紹介していきたいと思います。
最初にテーマを伝える
スピーチやプレゼンの際に、言いたいことがたくさんありすぎて最初の出だしから躓いてしまうという方も少なくありません。
第一印象が重視されるように、やはりスピーチやプレゼンにおいても最初の出だしは大きなポイントになってきます。深呼吸をして、覚悟を決めたら最初にテーマを伝えるようにしましょう。
例えば、人の話を聞いているときに「聞いていればそのうちわかるかな~」と思いつつ聞くということがあるかと思います。
聞いているうちに話の全体像が把握できればいいのですが、そうならなかった場合、「え、え、これ何の話なの!?」と混乱してしまいます。混乱してしまうと、話の内容どころではなくなってしまいます。
そうならないためにも、最初にこれから話すテーマについて伝えておくべきなのです。そうすることで、聞くほうも聞く準備や覚悟ができるようになります。何よりもテーマがわかっているからこそ、話が入ってきやすくなるのです。
それに最初にテーマを伝えることによって、初頭効果というものが期待できます。初頭効果というのは最初に与えられた情報がその後の情報に影響を及ぼすという心理的な効果なのですが、スピーチやプレゼンの最初にテーマを伝えることでその印象をより強く残すことができるのです。
印象に残るか残らないかというのは、スピーチやプレゼンにおいてとても重要な要素になってきます。
最初にテーマを伝えることで聞く側にとっても話が入ってきやすくなりますし、初頭効果によってより印象に残すことができるのです。いきなり本題に入るのではなく、ワンクッション置くことを意識して実践してみましょう。
大事なポイントは何度も繰り返す
学生時代の授業を思い出してみてください。テスト前になると、先生が大事なポイントを何度も何度も繰り返していた記憶があるという方も多いのではないでしょうか?
そうすることによって、大事なポイントを覚えられたという方も多いでしょう。これと同じように、スピーチやプレゼンでも大事なポイントは何度も何度も繰り返していきましょう。
何度も何度も繰り返しその情報に触れると、人間は勝手に親近感を抱くようになります。実際にテレビコマーシャルなどでよく見聞きする商品やサービスというのは、身近な存在に感じられるでしょう。
これは単純接触効果と呼ばれるもので、スピーチやプレゼンでも効果的なテクニックになります。
大事なポイントを繰り返し繰り返し伝えて、自分の伝えたいことを聞き手に刻み込むことができれば、印象にも残りますし、そこから親近感を抱いてもらえるようにもなるのです。大事なポイントは繰り返し伝えるように心がけていきましょう。
ただし、繰り返し伝えるにしても中身のない伝え方ではいけません。今は意味のないことをさも意味があるかのように表現する方が増えていますが、体裁だけ取り繕っても意味はありません。
そういう部分が見えると一気に印象が悪くなってしまいますので、注意しておきましょう。
スピーチやプレゼンの最中に問いかける
スピーチやプレゼンの最中に問いかけるというのも効果的です。また学生時代の授業のことを思い出してみましょう。
「じゃあ◎◎さん、答えてみて」と突然指名をしてくるような先生がいたかと思います。そういう先生の授業というのは、どこか緊張感があったのではないでしょうか?
一方で、指名をしてこない先生もいたかと思います。指名をしてこないのがわかっている先生の授業だと、気が緩んでしまうような部分もあったのではないでしょうか?
指名されないから仮に聞き漏らしがあっても、そう問題にはならないという感覚になってしまうのです。
このように、指名があるかないかでその場の緊張感というのはまったく違ってくるわけです。
スピーチやプレゼンにおいても同じで、一方的に話すだけのスピーチやプレゼンであれば聞き手というのは気が緩んでしまって、聞き流してしまう可能性が高いのです。だからこそ、問いかけを活用していきましょう。
スピーチやプレゼン中、問いかけがあると「この後に指名で何か聞かれるかもしれない」という緊張感が生まれるだけではなく、「聞かれたときに答えられるように聞いておかないと」と一生懸命に聞いてくれるようになるのです。
ちょっと問いかけをするだけで、積極的に聞いてくれるようになるのですから活用しない手はありません。
緊張感が生まれるというとあまり好ましくないように思う方もいるかもしれませんが、緊張感が生まれるのと同時にそのスピーチやプレゼンに対しての参加意識も高まります。
ただ話を聞かされているのではなく、そのスピーチやプレゼンに参加しているという意識が高まることで内容もより響きやすくなるのです。
問いかける際には最初から選択肢を絞り込んでおく
先では問いかけるという話をしましたが、問いかけの際には最初から選択肢を絞り込むとより効果的な問いかけになります。
最初から選択肢を絞り込んでおくと、誤前提暗示という効果が期待できます。誤前提暗示というのは、事前に選択肢を作られるとその選択肢以外を選ばないというものです。
特に、予期していないタイミングでの問いかけで「AかBか」と迫られるとAかBのどちらかを選んでしまいます。
冷静になって考えてみると、AやB以外の選択肢もあるのですが、目の前に選択肢が提示されるとその中から選んでしまうのです。これを問いかけのときに活用すると、より有利にスピーチやプレゼンを進めていくことができます。
誤前提提示というのは、極端な言い方をすると聞き手の考えをコントロールすることのできるテクニックでもあります。
もちろん、だからこそ悪用は厳禁なのですが、うまく活用することによって自信のないスピーチやプレゼンでも期待以上の反応を得られる可能性もあります。
ただ、スピーチやプレゼンをしながらその場で選択肢を考えるのは難しいでしょう。
そのため、スピーチやプレゼンの練習の段階でどのような方向に持っていきたいのか、選択肢を提示する上で選んでもらいたい選択肢と絶対に選ばないであろう選択肢を用意しておくのがおすすめです。
このように選択肢を最初から絞り込んでおいた上での問いかけをスピーチやプレゼンがもっとも盛り上がるところで投入するのが効果的です。
話し手ももちろん緊張するでしょうが、何度も何度も練習をして話の流れや問いかけのタイミングなどを体に刻み込んでおきましょう。
印象に残るワンフレーズを効果的に使う
「この人と言ったらこれ!」というフレーズを持っている方というのは、日本に限らず世界中にいます。
例えば、キング牧師の「私には夢がある(I Have a Dream)」、オバマ元大統領の「Yes We Can」といったものがまさにそれです。これをサウンド・バイト効果と呼びます。
サウンド・バイトを直訳すると「音でかみつく」になります。簡潔な言葉や表現でもまるでかみつくかのように印象に残る効果をサウンド・バイト効果と呼びます。
簡潔な言葉であれば何でもいいというわけではなく、語呂の良さもポイントになってきます。このサウンド・バイト効果をスピーチやプレゼンでも意識していきましょう。
人というのは伝えたい情報ほど、詳しく長々と説明してしまうものです。もちろん、詳しく長々と話すことでもその熱意は伝わるものですが、印象に残るかというと微妙なところです。
詳しく長々と話してしまったからこそ、印象に残らず、ピントがぼやけてしまうようなこともあるのです。
だからこそ、伝えたい情報ほど、簡潔で印象に残るような言葉・表現を使っていくようにしましょう。その場の聞き手に響くようなキャッチコピーを作るような感覚です。
仮にそのワンフレーズが響くものでなかったとしても、印象に残ればスピーチやプレゼンも同じように印象に残るはずです。
もちろん、ワンフレーズといっても考えるのはなかなか大変でしょう。オリジナルだとハードルも高いでしょうから、一般的によく知られているような表現からヒントを得ていくというのもひとつです。
もしちょっとした笑いの要素が認められるようなスピーチやプレゼンなのであれば、有名なキャッチコピーやキャッチフレーズのオマージュなどを使うのもいいかもしれません。
【電話応対編】スピーチやプレゼンの達人を目指すための心理学
先では、スピーチやプレゼンの達人を目指すための心理学ということでいろいろな心理学的なテクニックをご紹介してきました。
もちろん、先でご紹介したものの中にも電話応対で活用できるものはあるのですが、基本的には対面を前提としたものばかりです。では、電話応対を前提にしたときにはどのような点に注意していけばいいのでしょうか?
まず、電話応対でのスピーチやプレゼンの場合、はっきり聞き取りやすいトーンやペースで話すということが大きなポイントになってきます。
対面でのスピーチやプレゼンの場合にはスライドがあったり、身振り手振りでカバーできたりする部分もあるのですが、電話応対となってくると電話越しの声のみでやり取りをすることができますので、声だけでいかに伝えるかを意識していかなければいけません。
言ってしまえば、私たちのような電話秘書は勿論のこと、電話応対の印象は声だけで勝負をすることになるのです。聞き取りにくいトーンやペースであれば、それだけで大きなマイナスになります。
極端な言い方をすると聞く気がなくなってしまいますし、途中から聞いている振りだけをされてしまうかもしれません。声のみで勝負をするからこそ、相手にとって聞き取りやすいかどうかを高い意識をもって考えなければいけないのです。
一般的な電話応対であれば、話すときのトーンやペースに関しては相手に合わせるのが基本です。
ただ、同じ電話応対でもスピーチやプレゼンというのはこちらがメインの話し手となりますので、相手のトーンやペースに合わせる必要はありません。
その代わり、相手にとって聞き取りやすいトーンやペースを意識していくことになるのです。
また、電話応対でのスピーチやプレゼンであれば『間』というものもうまく使っていきましょう。間というのは沈黙の時間になりますので、あまりよくないように思っている方もいるかもしれません。
ただ、間というのは必要ですし、間があるからこそ余裕のある印象を与えることもできるのです。私たち電話代行サービスの応対でも間を意識した会話を心がけています。
少しの間もなく、一方的に話し続けるというのは好ましいことではありません。話し手としては伝えたいことを忘れないうちにすべて伝えたいという気持ちもあるかもしれませんが、それでは聞き手に余裕がなく焦った印象を与えてしまいます。
間を使っていくことで余裕のある印象を与えることができ、なおかつ聞き手にとっても間があることで頭の中を整理する時間ができ、より話が響きやすくなるのです。