昨今、「電話代行サービス」と一括りにするには、多種多様なサービスが出てきています。昔からある「電話代行サービス」というのは、プロの電話秘書・オペレーターが、あなたに代わって電話対応してくれるサービスとして世間一般で知られています。
そこに昨今は、
- 一次応対のみの電話代行サービス
- 電話自動音声応答システム
のような、様々なタイプ・用途の電話代行サービスとされるサービスが続々と出てきています。そのため現在、「電話代行サービス」と言っても、それ本当に電話代行サービスと言えるの?というような、電話代行サービスとは少々ジャンルの違うサービスも一緒くたに紹介されているのが現実です。
そのような流れを受けて、事業者も世間一般の電話代行サービスだと思って契約したところ、「不在応対のみ」しか対応していなかった、これでは困るので電話代行サービスを乗り換えた ... というような事態も急増しているようです。
このような背景も踏まえ、現在と散らかってしまっている「電話代行サービス」をジャンルに分けして、それぞれのサービスはどんな事業者に適しているのか?について詳しく解説します。
電話代行サービスは現在、大きく3つに分類できる
現在、電話代行サービスは大きく次のような3つのジャンルに分けられると思います。
- 通常の電話代行サービス
- 一次応にのみ対応した電話代行サービス
- 電話自動音声応答システム
何十年も前から中小企業に利用されている、プロの電話秘書・オペレーターが電話応対してくれる「電話代行サービス」、そして一次応対・不在応対のみに対応した「一次応のみに対応した電話代行サービス」、最後に自動音声応答システムによる「電話自動音声応答システム」の3つです。
電話代行サービス
最もポピュラーで以前より「電話代行サービス」として世間一般で知られているのが、電話代行サービスです。電話代行サービスの特徴としては、訓練・経験を積んだプロの電話秘書・オペレーターが様々な業務や状況に応じて電話対応してくれるサービスのことです。
電話代行サービスは、緊急時や特定の人からの電話を担当者に取次ぐことができ、会社や業種によって電話対応・電話応対をカスタマイズすることができるサービスです。そのため大切な電話や緊急性のある電話を逃しません。
またプロの電話秘書が応対しますので、丁寧な言葉使い、適切な電話対応で会社の印象を良くすることができます。
電話代行サービスのメリット
- プロフェッショナルな応対
- カスタマイズ可能な対応
- 緊急時の対応
- 時間とコストの節約
電話代行サービスのデメリット
- 契約時に契約書の提出が必要
- 電話代行会社によって応対の品質が違う
まとめ
電話代行サービスは、企業が高品質な顧客サービスを維持しながらも、内部リソースを効率的に活用するための有効な手段です。顧客とのコミュニケーションが必要な場合や、プロフェッショナルな対応が求められるシーンで特にその価値が発揮します。
一次応対のみの電話代行サービス
一次応にのみ対応した電話代行サービスとは、その名の通り一次応にのみの電話代行サービスになります。少しややこしいのですが、一次応対のみというのは、電話の取次ぎができないということです。
また電話対応のプロというよりは、主婦などのアルバイト的な人員による電話対応となりますので (そもそも一次応対のため、受電するだけ) 特に品質という概念はなく、電話対応は基本的に「不在応対のみ」となります。
つまりかなりドライな内容になります。通常の電話代行サービスであれば、かかってきた電話を直接あなたの携帯電話に取り次いだり、「現在外出しており、30分後に帰宅します」というように、状況に応じてカスタムすることができます。
しかし、一次応にのみ対応した電話代行サービスは、かかってきた電話に対して全て「只今席を外しておりますので、ご用件をお伺いします」という対応一択になります。
一次応対のみの電話代行サービスのメリット
- 契約書を必要とせず、フォームから気軽にお申込みができる
- アプリとして利用できるのでスマホで管理・設定できる
- 不在応対のみで構わないのであれば、比較的コスパが良い
一次応対のみの電話代行サービスのデメリット
- 常に不在応対になるので会社の印象が悪くなる
- 一次応対のみなので、電話の取次ぎができない
- 電話対応のカスタマイズができない
まとめ
以上のように「一次応対にのみ対応した電話代行サービス」は、基本的な応答機能に特化したサービスであり、主に不在時の電話対応を目的としています。このサービスの特徴として、電話の取次ぎが行えず、すべての通話に対して「只今席を外しておりますので、ご用件をお伺いします」と自動応答する点が挙げられます。
それでも問題ない、という割り切って利用できるのであれば、コストパフォーマンスはそれなりに良いものだと思います。一方で、顧客やクライアントとのコミュニケーションや会社の印象が大切な場合はデメリットもあることを知っておいた方が良いでしょう。
常に不在応答のみであるため、顧客やクライアントからの緊急の連絡や重要な話をすぐに受けることができない点がデメリットとして挙げられます。そのため、顧客サービスの質や迅速な対応が求められる場合には不向きかもしれません。
結論として、「一次応にのみ対応した電話代行サービス」は、電話応対におけるフルサービスを必要としない場合や、多過ぎる電話対応をとにかくさばきたいという場合は選択肢としてあげられます。
しかし、顧客とのある程度のコミュニケーションや対応のカスタマイズを重視する業務には向いていないため、利用する際はこれらのトレードオフを十分に検討する必要があります。
電話自動音声応答システム
電話自動音声応答システムも、電話代行サービスというジャンルで紹介されていたり比較されていますが、実際のところ電話代行サービスとは大きく異なりますので注意が必要です。
電話自動音声応答システムは、電話対応のブリッジ的なサービスで、人間が電話対応するのではなく、システムによって全てが自動対応となっているサービスです。このようなシステムは、大量の電話対応を自動化し、効率化することを目的としています。
このシステムは、人間のオペレーターではなくプログラムによる応答で対応を行い、電話がかかってきた際に自動でメニューオプションを提供し、利用者が必要なサービスを選択できるように案内します。
そのため、応対にあたる音声案内はどうしてもロボットっぽくなってしまうのが欠点です。イメージとしては、大企業やチェーン店などにかかってくる多めの電話をを振り分けるようなイメージに近いと思います。
例えば、お客様から電話がかかってくると自動音声応答システムが作動し、
1. 営業のお問合せは「1」を
2. お店まで道順は「2」を
3. その他お問合せは「3」を
というように、お客様がプッシュ通知で入力すると該当する詳細が自動アナウンスで流れたり、必要な場合は担当者に電話転送してくれるサービスです。
電話自動音声応答システムを導入している殆どの企業が、多過ぎる電話対応に困っており、人材が足りない、本業に集中したいう観点から、自動応対システムを導入することで顧客やクライアントからの電話をさばいているものだと思います。
電話自動音声応答システムのメリット
- 労力の削減
人的資源を節約し、オペレーターの労働負担を減らすことができます。
- 24時間対応可能
時間に依存せず、いつでも一定のサービスを提供することが可能です。
- コスト効率
大量の通話を自動で処理することにより、コスト削減が実現します。
電話自動音声応答システムのデメリット
- 人間らしさの欠如
自動音声はロボット的であり、顧客が人間との直接的なコミュニケーションを求めている場合には不満が生じる可能性があります。
- 複雑な問題への対応不足
システムは基本的な案内や簡単な問い合わせには有効ですが、複雑な問題には対応できないことがあります。
- 顧客のフラストレーション
利用者が目的のサービスに容易にたどり着けない場合、イライラすることがあります。
顧客心理からすると
顧客心理からすると、このような自動応対システムは最初は戸惑うケースが多いでしょう。何か問題を解決したくて電話しているのに、相手は自動応対のロボットであり、プッシュ通知で要件を選ばなければならないため時間がかかります。
私も以前に経験があるのですが、この手の電話対応は最後まで人間が出てこなくて、プッシュ通知で要件に該当する項目を選ぶ電話を続けても最終的にこちらが解決したかった問題は解決せずに、一方的に電話が終わってしまうことがあるのです。
最後まで自動応対で人間が出ませんので、全く相手にされなかったような印象を顧客に与えてしまう可能性もあります。しかし、現在の日本の労働市場における人材不足からすると、企業はこのようなシステムを導入しないと、ビジネスが成立しなくなってきている、というのが大きなポイントかと思います。
まとめ
以前のように電話対応、電話業務に人的リソースをかけることは困難になってきており、人材はもっとコアな業務に再編され、大手企業等の電話対応は自動化の流れに向かっているのが現実です。
そのため、「電話自動音声応答システム」は、ある一定数の顧客をさばきたい大手企業やチェーン店などには業務の効率化に貢献してくれるものだと思います。一方で顧客サービスや、電話対応のカスタマイズが必要な事業で、このような電話自動音声応答システムを導入してしまうと、顧客が不満を持ったり、会社の印象が悪くなる可能性があるため注意が必要です。
このようなシステムは、顧客サービスの質を維持しつつ、労働力不足に直面している現代のビジネス環境において、一定の役割を果たしています。ただし、個々のビジネスのニーズに応じて、人間と機械のバランスを見極めることが重要です。顧客の体験を最優先に考慮した上で、適切なシステム導入が求められるでしょう。
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