日本と海外では電話事情も大きく異なる
日本では、固定電話から携帯電話への移行が急速に進んでいます。 実際に、家に固定電話があっても使うのは携帯電話という方も多いでしょうし、そもそも家に固定電話がないというご家庭も増えているかと思います。
ただ、これはあくまでも日本国内での傾向です。では、海外では一体どのような状況になっているのでしょうか?
総務省の「平成30年通信利用動向調査」(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/190531_1.pdf)によると今現在の日本での固定電話の保有割合というのは、約6割となっています。
ちなみに、スマートフォンの保有割合は約8割にもなります。これに対して、通信の先進国、ベルとエジソンの国アメリカではまた違った結果が出てきます。
アメリカ疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)では2004年からアメリカの電話利用状況を調査しているのですが、2017年の時点でアメリカでは固定電話の普及率が過半数を割り込んでいます。
つまり、アメリカにおいてはすでに固定電話のない家庭のほうが多いという時代に突入しているのです。しかも、もっとも固定電話を使っているであろう65歳以上のシニア世代ですら、なんと23.5%です。
要は、もっとも使っているはずのシニア世代でもほぼ4分の1世帯が固定電話を持っていないということになります。
先進国と途上国でも電話事情に違いが……
先では日本と海外ということで通信の先進国、ベルとエジソンの国アメリカを一例に挙げましたが、電話事情というのは先進国と途上国においても違いがあります。全世界的に先進国と途上国で固定電話の普及率には大きな差が見られるのです。
というのも、日本やアメリカ、韓国、イギリスなどの先進国では固定電話の普及率は軒並み50%に近いか、50%を超えているかという感じなのですが、ブラジルやインドネシア、インドなどの途上国となってくるとその普及率は10%に満たないことも珍しくありません。
しかしながら、その一方でなんと携帯電話の普及率は途上国を中心に90%台はおろか100%を超えている国もあるのです。ちなみに、100%を超えているというのはひとりが複数台持っているということですね。
なぜこのようなことになっているのかというと、固定電話に比べて携帯電話のほうがインフラの整備が簡単だからです。しかも、外資が携帯電話業界の中心であることも大きく関係しています。
つまり、特に発展途上国においては、固定電話はかけたこともなければ所有したこともないというような人でも携帯電話は当たり前に持っているという状況ができあがっているわけです。
実際にテレビの旅番組などでも発展途上国では固定電話を見かけることはそうそうありませんし、その一方で携帯電話を持ち歩いている人の姿を多く見かけます。日本でもそうなりつつある部分はありますが、途上国においてはもはや携帯電話こそが電話というところまで来ているのです。
今の日本でも若い世代の方というのは、昔は当たり前だった黒電話の存在を知りませんし、黒電話の使い方もわかりませんよね。 ある意味ではそれを同じような感覚なのかもしれません。
海外の公衆電話は要注意!
さて、ここまで固定電話や携帯電話についてお話していきましたが、もうひとつ忘れてはいけない存在がありますね。それが公衆電話です。日本国内では見かけることが少なくなった公衆電話なのですが、海外では結構いろいろなところに設置されていて見つけやすい傾向にあります。
利用者も少なくありません。ただ、だからといって日本の公衆電話と同じ感覚で利用すると大変なことになってしまうかもしれません。というのも、海外の公衆電話というのは日本の公衆電話といろいろと違う部分があるのです。
日本では硬貨かテレホンカードを使うのが普通ですが、海外では硬貨やコーリングカードに加えてクレジットカードも使えるのです。ちなみに、コーリングカードというのは多少使い方は違いますが、日本で言うところのテレホンカードのようなプリペイドカードです。
コーリングカードも違いのひとつと言えるのですが、もっとも大きな違いとなってくるのがクレジットカードが使えるという部分です。海外公衆電話では直接クレジットカードを挿入してかけることもできるので、とても便利で使いやすい環境にあります。
しかしながら、実はクレジットカードを使って公衆電話をかけるという行為が今問題になっているのです。今は海外旅行もとても身近なものとなっており、海外でクレジットカードを使って公衆電話をかける方も増えています。
そういった中で、海外旅行者を中心にクレジットカードでかけた電話代の請求が高額になっているなどの数多くのトラブルが起こっているのです。では、なぜこういったトラブルが起こってしまうのでしょうか?
クレジットカードの場合、国際電話を一旦信販会社のオペレーター経由でつなぐことがあるため、ここに料金がかかってしまうのです。最悪の場合、たった数分の国際電話で数万円を要求されるようなこともあります。
それでなくとも海外旅行ではお金がかかるのですから、たった数分の通話で何万円もかかってしまったのではたまったものではありません。しかも、クレジットカード会社から返金される保証はありません。本当に注意が必要です。
また、これはそれほど多くない事例ですが、公衆電話でクレジットカード情報がスキミングされたという事件も起こっています。スキミングは日本国内でも起こり得ることなのですが、やはり海外だからこそよりいっそう警戒心を強める必要があります。
スキミングもどんどん巧妙になっていますので、海外の公衆電話を使うときにはできるだけクレジットカードを利用しないようにしておきましょう。
海外へ行くときには電話事情を事前にチェック!
このように、世界の電話事情は日本とは大きく異なります。日本人に限ったことではないのですが、人間というのはついつい自分の国の常識が世界の常識であるかのように勘違いしてしまうものです。
日本では当たり前に食べられているものが海外では受け入れられないようなこともあれば、逆に海外で当たり前に食べられているものが日本では受け入れられないということもあります。
国の成り立ちも環境も歴史も違えば、そこでの当たり前、常識も違ってくるものです。もちろん、共通点がまったくないわけではないかと思いますが、日本での常識が海外で当たり前に通用するものと考えるのは危険です。
現地の方に不愉快な思いをさせてしまうだけではなく、先ほどの公衆電話での高額請求のように自分がトラブルに巻き込まれてしまうようなこともあるのです。
日本にも利点と欠点があるように、海外の国々にも利点や欠点があります。どこに行ったとしても電話というのは必要となるツールですので、海外へ行くときには旅行代理店で確認を取ったり、さまざまな方法で自分の滞在する場所の電話事情を調べておいたりすることをおすすめします。
幸いなことに、今はインターネットで簡単に情報を調べられる時代です。海外は日本の常識は通じない場所だからこそ、日本のつもりで電話を利用してトラブルにならないためにもきちんと自分で事前に調べるということを心がけておくとよいでしょう。