日本は意外にもスマートフォン後進国
今の日本ではほとんどの方がスマートフォンを持っていますよね。いわゆるフィーチャーフォン(ガラケー)を持っている方はどんどん減っていますし、スマートフォンを持っていることを前提として商品やサービスもどんどん増えています。
そう考えると、日本でのスマートフォン普及率というのはかなりのものになっていそうなものです。ただ、海外におけるスマートフォンの普及率というのは日本の比ではありませんし、むしろ諸外国と比べると日本はスマートフォン後進国と言っても過言ではないくらいなのです。
それくらい海外に差をつけられているのが現状なのです。アウンコンサルティングは世界40の国と地域を対象に、2018年9月から2019年9月までのモバイルにおける主要OS、主要機種のシェア状況を調査(https://www.auncon.co.jp/corporate/2019/1112.html)しているのですが、その結果によると日本のスマートフォン使用率というのはたったの64%にとどまっています。
ちなみに、1位となっているのは96%の使用率を誇るアラブ首長国連邦とサウジアラビアで、40か国の中で日本よりもスマートフォン使用率の低い国というのは60%のインドネシア、40%のインド、61%のロシア、56%のナイジェリア、60%の南アフリカの5か国しかありません。
こうなってくると何故ここまでの差が出ているのか、その理由が気になるところです 理由は簡単で、日本においては従来型の携帯電話であるフィーチャーフォンの性能が高いからです。
スマートフォンを持っている方は多いものの、性能のいいフィーチャーフォンがあるからこそあえてスマートフォンを持つ必要がないという部分もあるわけですね。
まさに日本の技術のなせる業とも言えるのですが、それにしても先進国であり経済大国でもある日本においてこのスマートフォンの使用率の低さは異様です。変な言い方になりますが、世界水準で見たときに日本は浮いているような状態ですね。
スマートフォン事情における日本と世界の違い
スマートフォン事情における日本と世界の違いというのは単純なスマートフォン使用率だけではありません。先でお話したアウンコンサルティングでは主要OSのシェアについても調査しているのですが、日本と世界ではOSシェア率にも大きな違いがあるのです。
アウンコンサルティングの調査によると日本でのiOSつまりiPhoneの使用率は70%を超えています。改めて考えてみると、iOSの他にもAndroidもありますし、BlackberryというOSもあるわけですよね。それでもシェアトップ2はiOSとAndroidになっているのです。
しかも、Androidはさまざまなスマートフォンメーカーのスマートフォンで使えるのに対して、iOSはiPhoneでしか使えません。 もちろん、iOSが悪いとは言いませんが、あえてiPhoneでしか使えないiOSのシェアが大きいというのはかなり不可解です。
また、世界的な使用状況で言うと日本は欧米を含めた先進国の中でWi-Fiスポットが少ないことでも知られています。確かに、外でフリーWi-Fiを探すのに苦労した経験のある方は多いでしょう。
つまり、これは裏返せば日本以外の他の国々にはWi-Fiスポットが多く、それだけスマートフォンによるデータ通信などが生活の一部として普及しているということなのです。
このように日本と世界の違いというものを知っていくと、日本がいかに井の中の蛙になっているかがよくわかります。 便利だと思っているのは日本人だけで、もっと先に進んでいる諸外国の方からすれば日本は遅れまくっているのです。
違いはスマートフォンの使い方にも
さて、今度は少しソフトな面に目を向けてみましょう。スマートフォンの使い方についてです。 実は、スマートフォンの使い方においても日本と世界では結構な違いがあるのです。
例えば、日本人はスマートフォンゲームにドはまりしているような部分がありますよね。 スマートフォンゲームのテレビコマーシャルも頻繁に見聞きします。そういったところから課金の問題も出てきているわけです。
ただ、海外の方は日本人ほどスマートフォンでゲームをしないと言われています。何年か前になってしまうのですが、東京外語専門学校と東京国際福祉専門学校への取材で、外国人が「ヘン」だと思う日本人のスマホの使い方についてアンケートをとったところ、1位が「電車内など公共の場でのマナーが良すぎる」で52.7%、2位が「スマホでゲームをする大人が多い」で49.1%、3位が「iPhoneユーザーが多い」で44.4%という結果になったそうです。
先でのiOSの件も、このアンケート結果に反映されていますよね。 ちなみに、この調査だと4位に「イヤホン通話をしない」というものも40.4%でランクインしています。
つまり、欧米をはじめとする外国では、スマートフォンはイヤホン通話で使うのが普通なのです。確かにBluetoothでハンズフリー通話をする癖がついたら、わざわざスマートフォンを手に持つのも面倒に感じられるでしょう。
さらに、先のアンケート結果では8位に「仕事中にスマホを使うことにうるさい」というものが27.1%でランクインしていました。おそらく日本人の一般的な感覚だと「え、当たり前でしょ?」と言いたくなるところでしょう。
しかしながら、海外では仕事中にスマートフォンを使うことが普通なのです。というのも、まだ日本においては、スマートフォンというと個人用の携帯電話というイメージが強いのです。そのため、スマートフォンの使用はプライベートなものと考えられてしまうわけですね。
それに対して、諸外国ではスマートフォンというのは立派なデジタルデバイスです。仕事にも使えるいわゆる「仕事道具」という扱いになっていますので、仕事中にスマートフォンを使っていてもとやかく言われることはないのです。
こういったアンケート結果からも諸外国の方にとってはスマートフォンというものが電話もできる携帯通信端末という認識で、日本人にとっては携帯電話の延長線上にあるものという認識であることがよくわかります。
結局のところ、スマートフォンへの認識や使い方に関してもお国柄が出てくるということなのでしょう。
海外からすれば日本のスマートフォン事情には謎が多い
少し前に、インターネット上で日本におけるスマートフォンの使い方についてちょっと話題になったことがありました。というのも、本来であればスマートフォンをかざすだけでOKなはずなのに、日本ではわざわざスマートフォンの画面にQRコードなりバーコードなりを表示して読み取ってもらうというまどろっこしいやり方をしているのです。
これに関しても何の疑問も持たずにやっている方が多いかと思うのですが、改めて指摘されるとせっかくのスマートフォンを活かせていないような感じがするものです。こういったところも、諸外国の方からすると不思議に思えるのかもしれません。
これも日本人のお国柄なのかもしれませんが、「周りが当たり前にしているからこそそうすることが普通」という感覚に陥りがちです。しかしながら、世界でどのようにスマートフォンが使われているのかという部分に目を向けてみると日本でのスマートフォンの使い方には疑問点というか謎があります。
そういうところから新しいビジネスモデルが誕生するようなこともありますので、スマートフォンを含めて日本での当たり前というものを見直してみると面白いかもしれませんね。