テレワーク導入というのは、さまざまなメリットがあります。ただ、同時にいくつかの注意点もあるのです。
例えば、実務上で注意すべきところとしては労働時間の管理をはじめ、業務管理、人事や労務の管理などが挙げられます。
まずは、テレワーク導入での実務上の注意点として労働時間の管理についてご紹介していきたいと思います。
労働時間の管理といったときに真っ先に思い浮かぶのが始業時刻と終業時刻の管理ではないでしょうか?
オフィスで仕事をする場合、基本的にほとんどの方が決まったスケジュールの中で業務をこなしていくことになりますので、だいたい同じ始業時刻と終業時刻になってきます。
ただ、テレワークを導入すると自由度が大きくなる分、始業時刻と終業時刻に揺らぎが出てくるようになります。
ウェブカメラでお互いの顔を見ながらという業務でない限りは、多少遅くに始業しても早くに終業しても問題はないかもしれませんし、そういったことを誰にも知られずにこっそりと自分ひとりで実施して業務時間を意図的に短くすることもできてしまいます。
だからこそ、テレワークを導入する際には始業時刻と終業時刻の報告、その記録の方法といったものを考えておく必要があります。もちろん、必要に応じてそもそもの始業時刻と終業時刻を変更しなければいけないことも出てくるでしょう。
日々の業務で日常的に使っているであろうEメールやチャットなどのツールを使って始業時刻と終業時刻の記録、そして記録の共有をすることもできますし、簡単に電話での報告というのも可能です。今は簡単に導入できる勤怠管理ツールといったものもあります。
テレワークでは通勤する必要がなくなりますので、その分、始業時刻と終業時刻を早めるといったこともあるかと思います。
始業時刻と終業時刻の変更をおこなっていくのであれば、そのためのルールも考えていく必要があります。
ルールを決めて周知させるだけではなく、テレワークで時間帯や曜日に関係なく休憩なしで働き続けてしまうなどの事態を防ぐためにも徹底した指導が求められます。
労働時間の管理に関しては、在席確認と離席確認にも注意が必要です。 ウェブカメラでの会議などであればお互いがお互いに仕事をしていることが確認できますが、常にウェブカメラを使う業務をするわけではありません。事業内容にもよりますが、基本的にはお互いの姿が見えない時間のほうが長いはずです。
そうなってくるとお互いが「本当は仕事をしていないのではないか」「仕事をしているのに仕事をしていないと勘違いされてしまうのではないか」といった不安を抱えるようになってしまいます。
そういった不安を解消するためにも、始業時刻と終業時刻の管理のときと同じようにEメールやチャットなどのツールを使って、在席確認や離席確認をおこなうようにしたほうがいいでしょう。
最近ではパソコンの稼働画面を常時確認できるようなツールもありますし、LINEなどでこまめに連絡を入れるといったことも可能です。
1日在席予定だったのにも関わらず、事情が変わって離席するといった可能性もありますので、そういったことも想定した上でどのような形で在席確認や離席確認をおこなっていくのかを事前に決めておきましょう。
テレワーク導入にあたっては、業務管理における注意点もあります。
オフィスであればお互いにデスクを行き来することで業務の進行具合を確認することもできるのですが、テレワークとなってくるとそういうわけにはいきません。お互いに離れた場所にいるからこそ、業務の進行具合を把握できるように、可視化できるようにしておかなければいけません。
業務の進行具合の把握や可視化だけではなく、お互いが離れていても共同で業務を進められるようなツールやワークフローといったものも考えるべきでしょう。
仮にテレワークの導入が一時的なものであったとしても、こういったツールやワークフローがあることによってオフィスでの業務に戻った場合でも業務を効率的に進められるようになります。
テレワークが導入されると、それまでオフィスでしか行っていなかった業務をオフィス以外のところで行うようになります。自宅はもちろんですが、人によってはカフェなどで仕事をすることもあるかもしれません。
オフィスの外に持ち出すという時点でリスクが高まることを考えれば、テレワーク導入にあたってはセキュリティー対策は必須です。オフィスでの業務をおこなっていたときからセキュリティー対策は万全にしていたという事業者様でも、よりいっそうのセキュリティー対策が求められることになります。
テレワーク導入にあたって事業者様は必要な機器を貸与したり、通信費を負担したりするのが一般的です。事業者様が一切負担することなく、社員様のご自宅のパソコンを使って、ご自宅のインターネット回線を使うとなってくると、本来であれば個人で消費されるものがテレワークのために消費されてしまうことになります。
もし社員様の負担とする場合には、その旨を周知させる必要がありますし、どこからどこまでが社員様の負担になるのかその範囲などを就業規則に明記しなければいけません。トラブルになりやすい部分でもありますので、ここを曖昧にしたままでテレワークを導入するのは好ましくありません。
そして、テレワークの導入の際には人事や労務の管理における注意点も出てきます。
テレワークの導入によって評価が難しくなってくる部分もあるでしょう。そういった中で、オフィスへ出社する方もいればテレワークで仕事をする方もいるという状態になってくると評価もより難しくなり、社員様が不平等感を抱く可能性もあります。このあたりに関しても事前にルールを決めておき、周知させることも必要になってきます。
テレワークの場合、自宅で仕事をするからこそ休憩を取るタイミングを逃してしまったり、曜日に関係なく働いてしまい休みの日を取れなかったりという過重労働に陥ってしまう可能性があります。
逆に、見えないからこそ仕事をしている風に装うといったことも起こり得ます。これらに関しても、業務の進行具合の把握や可視化といった部分で防止していくことになるかと思います。
テレワークの場合、面と向かってやり取りをするわけではないからこそ、日頃伝えにくい内容でも伝えやすくなるといった声もよく聞かれます。それによって生産性がアップしたり、業務の効率化が進んだりすることもあるのですが、離れたところにいても問題なくコミュニケーションのとれるツールがないと意味がありません。オンライン会議チャットなどのツールをフル活用していきたいところです。