厳しい状況にある家庭用固定電話
改めて考えてみると、電話機の発展というのは電話が発明された1876年から今日まで本当に目覚ましいものがあります。たったの数年で大きく変化し、それに伴って現代人の生活も様変わりしたと言えるでしょう。
電話機といったときにまず思い浮かべるのが家庭用の電話機です。ほんの20年前までは一家に一台固定電話があり、そのほとんどがダイヤル式かプッシュホン式の電話でした。
そこからワイヤレスフォン、ファックス付き電話などさまざまな電話機が登場するようになっていきました。受話と送話のみだった電話機から考えれば、多機能すぎるほどです。
しかしながら、今では家庭用固定電話というのは激減しています。その理由は言うまでもありません。携帯電話が登場したからです。
常に持ち歩く携帯電話が普及したことによって、あえて家に固定電話を置く必要性がなくなってしまったのです。友達と連絡を取るのに、友達の自宅にかける……なんてこともなくなってしまいました。
今や契約式である固定電話の加入率は30代世帯で約30%、20代世代ではなんと約6%にまで落ち込んでいます。さらに、回線もダイヤル式回線がほとんどなくなり、ほぼプッシュ回線となっています。
他にもインターネットと同時加入ができるデジタル回線やIP回線、電話加入権のいらない直収回線などさまざまな形態が生まれるようになり、世間的にはインターネット回線の一部という認識が強くなってきました。
家庭用固定電話を愛用しているという方にとっては残念なお知らせになってしまいますが、家庭用固定電話は今後発展する見込みはほぼないでしょう。
オフィス用固定電話は今でも会社の中心に
先でもお話しましたように、家庭用固定電話というのは今後発展する見込みはありません。加入率が劇的に増えるという可能性もないでしょう。
しかしながら、同じ固定電話でもオフィス用となってくると事情は違ってきます。オフィス用固定電話はまだまだ現役で、会社の中心にあります。
今やデジタルデバイスやインターネットでのSNS通信が主流になってきているものの、そのネットワークの中心にあるのは間違いなく電話なのです。
例えば、
・各オフィスで見かける転送やマイクロフォン接続のできる多機能電話機
・複数回線が同時利用できるビジネスフォン
・インターネット回線を経由して使うIP電話機 などのようなさまざまな電話機が今もオフィスで活躍しているのです。
もちろん、それにプラスする形でそのオフィスで働いているスタッフそれぞれが携帯電話を持っています。
携帯電話に代表される持ち運ぶタイプの電話機というのは、もともとはポケベルことポケットベルから始まり、PHSや携帯電話を経て、今やスマートフォンへと進化を遂げています。
これによってオフィス用の固定電話は、個人の電話へとつながるハブの役割を果たすようになり、その役目がどんどん大きくなっていっているのです。 会社の固定電話を中心にして、スタッフひとりひとりの携帯電話へのネットワークというものが構成されています。
オフィス内における電話ネットワークのハブとして重要な役割を担っている固定電話は、携帯電話の登場によってその重要度が増しているとも言えます。
ただ、その中心となる固定電話に担当者がいるとは限りません。たまたま席を外しているようなこともあれば、人手不足の中で担当者を確保できないこともあるでしょう。
そういったときでも、リアルタイムで迅速な対応ができるのが電話代行サービスです。オフィスにおいては、それでなくとも重要な固定電話の重要度が増している今だからこそ、電話代行サービスの重要度も比例するように増していると言えるのではないでしょうか?
もっとも進化したスマートフォン
家庭用固定電話とオフィス用固定電話についてご紹介しましたが、数ある電話機の中でもっとも進化したのがスマートフォンです。
スマート「フォン」だからこそかろうじて電話機と呼んでいるようなもので、実際には電話機という一言では表現できないほどの機能を搭載しています。
改めてスマートフォンの機能を挙げてみると、 ・インターネットへの接続 ・SNSを使った無料通話 ・テレビ電話 ・ゲーム機 ・音楽プレーヤー ・カメラ ・代金支払い端末 といった具合に、多機能という表現では足りないくらいの機能を持っています。
基本的にスマートフォンが1台あればそれでOKというのが、今の世の中です。
しかしながら、2010年代からスマートフォンの発展も頭打ちとなっています。実際に、マイナーチェンジや機能の増加、アプリの先進化以外での発展というのはほとんど見られなくなりました。
昔のように「こんなことができるの!?」と驚くこともなくなってきています。言ってしまえば、もう完成してしまったからこそ発展のしようがないのかもしれません。
今の日本だからこそ忘れてはいけない公衆電話
さて最後に、忘れてはいけないのが公衆電話の存在です。携帯電話の発展によって、公衆電話もその数を大きく減らしています。
今では小学生の8割が公衆電話の存在を知らないとも言われているほどです。しかしながら、その役割の大きさは2011年の東北地方東日本大震災をきっかけに見直されるようになっています。
今の日本では自然災害が頻発していますので、東日本大震災に限らず被災した経験があるという方も多いでしょう。そういった中で、緊急時の電話に困った方は少なくないはずです。
連絡が取れないから自分の状況について伝えることもできないし、相手の状況についても知ることができないということで大きな不安を抱えた方は多いでしょう。
公衆電話は災害時に強いので、緊急時の連絡で大いに役立ってくれます。というのも、公衆電話は「災害時優先電話」として、災害が発生したときに通信規制の対象外として優先的に取り扱われることになるのです。
NTT東日本およびNTT西日本の通信ビルから電話回線を通じて電力供給を受けているため、仮にその地域が停電していても電話をかけられるようになっています。
災害救助法が適用される規模の災害が発生し、なおかつ被災者の通話を確保する必要があるとNTTが判断した場合には公衆電話からの通話が無料になるので公衆電話の存在は本当に大きいのです。
緊急連絡先である119番(消防・救急)、110番(警察)、118番(海上保安)には無料でかけられるようになっています。
特に、今の世の中は電気に頼りすぎている部分があります。自然災害で停電すれば、何もかもが機能しなくなってしまいます。
そういった中でも生き残ってくれる公衆電話というのは、今の時代、今の日本だからこそ忘れてはいけないですし、日本の大切な電話文化として確実に残していくべきものです。
ちなみに、公衆電話にはコイン式とテレホンカード式、その両方が使えるものがあります。携帯電話の普及によって公衆電話の需要が減り、テレホンカードの普及率も減っていきました。
実際に、今テレホンカードを持っている方というのはかなり少ないです。そのため、コイン式の硬貨が使える公衆電話が高く評価されつつあるのですが、ご存知のように今の日本ではキャッシュレス化が進んでいます。
キャッシュレス化が進んでいる一方で、コイン式の公衆電話が高く評価されつつあるというのは何とも皮肉な話です。
電話機に限ったことではないのですが、何が起こるかわからない今の時代だからこそ当たり前のことが当たり前でなくなってしまう可能性を考えて、もっと慎重にいろいろなことを考えていくようにしたいところです。